毎年この日になると蘇る記憶がある
20年も前の事なのにとても鮮明だ
当時我が家は夫の転勤で米国に滞在していた
その日の朝
体調がよくなかった私は
夫を仕事に送り出し
息子をスクールに送り届け
自分もレッスンに行く予定だったが休むことにして家に戻った
部屋着に着替えベッドに横になり
リモコンでテレビをつけた
すると
いつもニュースチャンネルになっているはずのテレビの画面に
映画のワンシーンが映し出された
本当にそう思ったのだ
高層ビルから煙が出ていて
誰かが早口でまくし立てている
リアルタイムのニュース映像だと気づき
食い入るように画面を見つめ
耳を澄ませ
脳をフル回転させて理解しようとした
どうやら飛行機がビルに衝突したらしい
事故があったんだ
そう思った瞬間
また飛行機がビルに突っ込んだ
テレビに釘付けになっていると電話が鳴った
息子の担任から
スクールを締めるので迎えに来てくださいという連絡
慌ててまた着替えて車を走らせた
ニューヨークから遠く離れた私のいる街でもすぐに大騒ぎになった
これはテロだ
まだ続くかもしれない
次はシリコンバレーかデトロイトじゃないか?
いやカリフォルニアかフロリダだよ
様々な憶測が飛び交った
夜間には
ふと違和感を感じて窓から外を見ると
飛行機がライトで街を照らしながら低空飛行していた
あの緊張感と何とも言い難い不安
9月11日になると
テロが起きてから次の日までの記憶が
てとも鮮明に浮かぶのだ
あのテロで多くの方が犠牲になった
でも被害を受けたのはその方たちだけではなかった
しばらくして再開した私が通っていた学校で
テロ後
クラスメイト数人が来なくなった
犯人たちと同じような肌の色
同じような顔つき
近隣の国の出身
そんな理由だけで差別され
歩いていると怒鳴られたり物を投げつけられるから
怖くて外に出られないのだという理由だった
彼らもまた
ただの人種差別だけではなく
あのテロの被害者なのかもしれないと思った
時差を考えると
あと数十分ほどであの時間になるだろうか?
多くの犠牲者の方々の心からのご冥福と
ご家族や関係者の方々の心が
この20年という時間で
少しでも前向きになっていてほしいと願いながら
今年も黙祷をしようと思っている

