今夜も雨が降っている
今夜はアップルティでも淹れようか
アップルティには幸せな思い出があるのだけれど
その思い出には不倫夫の嫌な記憶も紐づいている
息子がセンター試験の日
車で片道30分以上かかるところまで送り迎えが必要だった
でもその日
私は朝から体調が悪かった
朝はなんとか送っていけたが
体調は回復するどころか悪化の一方
日中はずっと横になっていた
それなのに
当時自宅から高速を使えば1時間半くらいの距離に平日使う部屋を借りていた夫は
私の代わりに息子を迎えに行くどころか
じゃっ
と一言いってその部屋に戻って行った
あっけにとられながらも迎えの時間は迫ってくる
悪寒に震え
途中何度も路肩に車を止め
必死にハンドルにかじりつきながら息子の迎えに行った
帰り道
半分朦朧としながらも息子の必死の声掛けで何とか家にたどり着き
そのまま着替える力もなく横になった
いつも私が体調を崩すとペットボトルの飲み物を枕元においてくれる息子が
その日は初めてお湯を沸かしティーバッグのアップルティを淹れてくれた
これ飲んでと
涙が溢れた
息子の思いやりと冷たい夫の仕打ち
嬉し涙と情けなさの涙に
声をあげて泣いた夜だった
