FNC ENTERTAINMENTの経営戦略☆KOSDAQ市場への上場に関する考察
FNCのニュースを、今日もまた、ビジネス視点(経済・経営)で解説します。
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ビジネスセオリーを用いて、個人の見解を中心に書いているので(個人の視点満載の記事なので)、アメンバー限定での限定公開にすべきところなのですが、皆様にお読み頂けるよう今回は公開記事にしました。そこで、皆さまにお願いですが、ブログの一部を転記されたり、ブログ全文を貼り付けることはご容赦下さい。流用・転記は厳禁とします。宜しくお願い致します。
☆初日の株価と市場での評価
FNCエンターテインメント(以下FNC)が、12月4日KOSDAQ*に上場しました。
昨年度における売上高と当期純利益は、それぞれ496億ウォン(約53億1450万円)、28億ウォン(約3億円)ということで、着実な成長性をアピール、KOSDAQ承認を12月2日に獲得しました。
上場初日となった、12月4日のFNCの初値は2万5200ウォン(約2710円)で、、終値は2万7600ウォン(約2968円)でした。
初日は、.5%の値上がりとなりましたが、公募価格は、2万8千ウォン(約3000円)ですから、株式市場の判断は、公募価格並みとの市場価値といった評価と言えるでしょう。
新規公開に際し公募価格で株主となった人は、終値では、売り抜けできませんでした。(株式の売買には手数料がかかるため、同値での売却は、損が発生してしまいます。)
今年の上半期は売上高291億ウォン(約31億円)、純利益41億ウォン(約4億4094万円)と足元は好調です。株価は将来価値を反映させるといいますし、今後の動向を見極めてという投資家心理が働いたのかもしれません。
とはいえ、上場でFNCに株価が付いたということで、時価総額が193億円と算出されました。
SM、YG、JYPに続き、このたび4番手での上場となったFNCですが、時価総額では、約1800億ウォン(約193億円)で、SM 7400億ウォン(約795億円)、YG 7100億ウォン(約763億円)に次ぐ、業界3位に躍り出ました。[JYPは1580億ウォン(約169億円)]
■参考*KOSDAQは、韓国の中小企業やベンチャー企業が円滑な資金調達を目的に設けられた株式市場です。日本で言えば、ジャスダック市場のようなものです。中小企業やベンチャー企業にとって韓国証券取引所への上場基準はとても高いため、株式公開(IPO)の過程で脱落することが多いため、これら企業のための市場を別に設けることで、証券市場で資金調逹することができる道を開いています。
☆上場祝:取引所でのFNC上場式典
株式上場で、恒例となっている上場イベント。日本では、取引所内でウィニングベルを鳴らしてお祝いしますが、韓国では式典が催されました。
所属タレントも取引所にかけつけ、株価ボードの前で、上場を喜びあいました。ハン・ソンホ代表をとりかこみ、AOA, ジュニエル、FTISLAND、N.flyingが勢揃いし、笑顔で記念撮影しています。
(CNBLUEは日本公演、FTISLANDのホンギ君は撮影にて姿を見せず)
中央で、花束を抱えにっこり笑うハンソンホ代表
AOA、ジュニエルが式典で歌を披露しました。
コンピューター管理された取引所で歌うAOAとジュニエル。
男性職員が圧倒的な株式取引所で、新たなファン獲得に役立ったかもしれません。
AOAは、昨年から今年にかけて、韓国で大人気、歌番組でも1位を獲得し、テレビ・ドラマと大活躍しています。式典での人選においても、勢いがある、AOAにFNCの未来を託す、ハン・ソンホ代表の戦略が垣間見えた気がします。
☆FNCの認知度とAOAの存在
株式上場により、潤沢な資金を得て、今後の活動に弾みがつきそうなFNC。これまで、歴史が浅い故に認知度も今一つでしたが、上場機会とAOAの人気も手伝い、韓国で企業の認知度も上がりそうです。
韓国の芸能業界で、歌手の活動の場は、歌番組が中心です。その歌番組では、バンド形式の歌手は少数派。主流は、ダンスユニットです。
それゆえ、これまでも、FTISLANDとCNBLUEの活動において、バンド故に様々な障害があったことは、みなさんご存じだと思います。
(ここでは詳細は語りませんが、生演奏する機会はほとんどない上、エアー演奏への中傷などがあったことなどが代表的な例です。)
AOAは、「バンドとダンス」といった、異質なコンセプトを同時に併せ持つ、2つのユニットで売り出しました。市場のニーズに合わせて、活動の中心軸をバンドからダンスに変えることで、韓国の主流であるメジャーな立ち位置に自らを置くことに成功しました。
韓国の女性ダンスユニットで、とりわけセクシー路線は大衆に時代を問わず人気があるようです。シスターなど、韓国の兵役に慰問に行くなど、幅広い層に支持される女性ダンスユニットは、韓国芸能界で息が長いとも言われています。
AOAも、短いスカートをはき、腰をくねらせ、セクシー・大衆路線に変更。
韓国で、ファンの数を劇的に伸ばし、今やテレビやドラマに出演する旬の歌手になりました。日本、台湾においても、セクシー路線で踊るAOAは人気となり、CD売上も好調を博しています。
FNCのこれまでの主流であった、バンドファンの獲得といった、限られたチャンネルを超え、大衆路線化したAOAによって、これまでないファン層を獲得、FNCの認知を劇的に上げることに寄与していると考えられます。
(ちなみに、AOAは、本年における韓国市場で、CNBLUEに続き、2番手の人気歌手となりました。)
☆これからの成長性と代表の戦略
FTISLANDやCNBLUE の日本、台湾などへの進出。
アジア地域における海外戦略の成功を仕掛けたのは、ハン・ソンホ代表の力量によるところが大きいと思われます。そして、FTISLANDと、CNBLUEという2大バンドのアジア地域での人気によって、FNCは急成長を遂げてきました。
ハン・ソンホ代表は、経営者としての一面と、音楽プロデューサーとしての一面を持ち合わせ、FNCのトップとして、経営手腕を発揮してきました。
FNCは、国内市場でのシェア拡大を目指す一方で、収益の柱として、海外におけるビジネスに力点を置いてきましたが、この方向性に変わりはないようです。
しかしながら、韓流関連ビジネスがピークアウトした日本から、ポテンシャルの大きい中国へと、力点は変わっているようです。
11月17日に開催された株主向けの投資説明会でも、ハン・ソンホ代表、投資家にむけて、中国向けのビジネスに注力すること、現地のニーズに合わせ、ローカルの人材発掘、育成を行うことを明言しました。
中国でFNCアカデミーを作り、現地でのタレントマネジメント、テレビ、映画ビジネスへの進出へと、大きな野心ものぞかせています。
中国でのビジネスが、利益に直結するかは、未知数ですが、中国の経済特区におけるコンサートやファンミーティングなどは、自社タレントのプロモーションのいい機会となり、新たな収益源として寄与してきそうです。
そして、2015年はいよいよ男性のダンスユ二ットとNFLYINGがデビューを予定しています。新しいアイドルの誕生に、新たなファンを獲得できるか、来年はFNCにとって、勝負の年になりそうです。
◆ご参考 過去の同記事に関連するブログ
http://ameblo.jp/rabbitparadise/entry-11922136299.html
☆心の声☆
所属会社の上場によって、そこに所属するタレントに無関係かといえば、実はそうではありません。会社側は、上場企業となり、社会における信頼性の確保から、優秀な人材の獲得も容易になります。
一方、一般的に成長に寄与してきた社員や契約タレントにとって、企業上場は、所属事務所へのロイヤリティを高めると言われています。(すべてが該当するわけではないですが)そういった、精神面の効果だけでなく、金銭面での特別ボーナスや株式自社株制度などにより、株式が分配されているといいなと思います。(経済的効果の分配という意味合いです)
そして、資金が潤沢になることで、所属タレントを主演にした映画の企画やテレビ番組の制作もずっとやりやすくなるはずです。FTやCNにとって、兵役までのあと数年その活動が豊かに送れることを心から望んでやみません。