生活科について、小学校教科としての特徴、意義、可能性について述べなさい。
生活科は、1989年3月告示の小学校学習指導要領改訂により、小学校低学年(第1学年および第2学年)に新設された教科である。生活科は、低学年の児童に具体的な活動を通しての直接体験を重視した学習をさせ、社会環境や自然環境を、自分自身とのかかわりでとらえさせることによって、生活上必要な習慣や技能を身につけさせることをねらいとし、学習や生活の基礎的な能力や態度を育成し、自立の精神を養うことを目ざしている。
その学習活動は、従来の低学年社会科や理科の内容をも関連的に統合させ、児童の発達段階に即して、近隣公園での遊びなど、地域の社会や自然を活用し、それらをいっそう具体的、一体的に取り扱うことになっている。生活科の授業時数は、第1学年102時間(1単位時間は45分)、第2学年105時間を標準とする。
低学年の児童の心身の発達は、幼稚園年長児から小学校中・高学年の児童への過渡的な段階であり、具体的な活動を通して思考すると言う特徴がみられる。そこで、幼稚園教育との関連も考慮して、低学年では直接体験を重視した学習活動を展開することが教育上有効である。すなわち、直接体験を重視することによって、学ぶ楽しさや成就感を体得し、そこで学習したことを次の学習や生活に生かそうとする意欲や態度が育成される。児童自らが環境の構成者であり、そこにおける生活者であるとうい立場それらに関心を持つこと を大切にしている。つまり、児童が身近な社会や自然に知的好奇心をもち、問題解決的な能力や態度を育つよになるとともに、具体的な活動や体験において、自分も社会や自然の構成員であり、 自分と社会や自然とのかかわりについて、自ら納得してわかるようになる教科である。
生活科の可能性については、活動や体験から得た対象への気付きを経て、自分のよさや可能性について気付かせることが気付きの質を高めることができると考える。例えば、ミニトマトを育てていくうちにミニトマトについての気付きを得るとともに、「ミニトマトさんが大きく育ったのは、お世話をがんばったからです。」「ミニトマトさんに負けないように、勉強を頑張るね。」のように、自分への成長や可能性などの気付きを得ることができることである。そのためには、対象にしっかり関わることができる豊かな体験や、教師や他者からの価値付けなどにより、自分自身への気付きが促されると考えられる。対象に一緒に関わる友達のよさに気付いたことを、 互いに「伝え合う活動」を位置付ければ、それが自分自身について相互に気付く手立てとなり、気付きの質が高まるのではないかと考える。また、単元ごとに自分の学習の足跡を振り返り表現することで、自分自身への気付きを得ることができると考える。