病院を出てお昼を食べてから産院に戻り、部屋で少し話をしてから夫は仕事に行った。
何もすることがなくなったので、シャワーを浴びに行った。
さっと浴びて部屋に戻るとすぐに助産師さんが部屋に来て、退院指導をしてくれた。
「赤ちゃんのお世話に関することは転院先の病院でしてもらえると思うから」ということで、それ以外の部分について話をしてもらった。
「そりゃそうだよな~」と思う一方、「いちいちそういうこと言われるのはちょっと…」という気持ちにもなってしまう。
面倒くさすぎる。
退院指導も終わり、夜ご飯まで何もすることがなくなった。
平日の昼間はテレビも見たい番組もなかったので、テレビを消してスマホで暇潰しをすることにした。
部屋の中が静かになると部屋の外からいろんなものが聞こえてくる。
赤ちゃんの泣き声・面会に来た人の声・楽しそうに盛り上がっている声。
このときの私にとってどれも聞きたくない音だった。
「なんで私の息子は私のそばにいないの?」
「なんで私の息子なの?」
「なんで…?」
そんなこと考えたくないのに考えてしまう。
私の息子は別の病院で生きようと頑張っている。
それはわかっている。
わかっているけど、どうしてもつらい。
他のみんなは当たり前のように自分のそばに我が子がいる。
お世話ができる。
なんで私はできないんだろう。
こんなこと考えても自分がしんどいだけなのに考えてしまう。
もちろん他の人にもそれぞれ悩みやつらいことはあったと思う。
でもこのときの私にはそんなことを思う余裕はなかった。
部屋の外の音から逃れるためにイヤホンをして好きだった動画を見ることにした。
あんなに好きだった動画なのに、このときはおもしろいとは思えなかった。
見るときの気持ちによってこんなに変わるんだね。
カーテンを閉めて電気も消してドアに背を向けて布団にくるまって動画を見続けた。
落ち込んだときはおいしいものを食べよう。
半額だって!
おいしそう♪