ある勤務日。
この日、うちの部署の派遣は私だけだった。
仕事も忙しくなく、午前の早い時間からAさんBさんとは別の仕事をしていたところにリーダーがやってきた。
リ「ちょっと頼みたいことがあるんやけど、一緒に来てくれる?」
と言われ、ついていくと貸し出し用の制服が置いてある場所だった。
リ「貸し出し用の制服なんやけど、破れてたりほつれたりしてるものが多いから整理したいねん。裁縫は得意?」
私「上手いかどうかは別として、裁縫は好きです。」
リ「それならよかった。縫って使えるものは使いたいからお願いしていい?」
私「はい。わかりました。」
リーダーと一緒に制服の選別を始めると、リーダーが話し出した。
リ「実はさ、(私)さんが初めてこの会社に来てくれた日に、(私)さんを見てビックリしてん。」
私「え?」
リ「昔めっちゃ好きやった人に似てるねん。年は僕と同じくらいやから全然違うんやけどな。でもほんまにそっくりやねん。」
私「そうなんですかー。」
リ「ちょっと話したいなーって思ってたし、うちの部署に来てほしいなーとも思ってた。」
私「……。」
リ「僕のことどう思ってる?」
私「え?(戸惑い)」
リ「大丈夫!(私)さん結婚してるみたいやし、(私)さんとどうなりたいっていうわけじゃないから!」
私「……。初めて会ったときからめっちゃいい笑顔で挨拶してくださるなーとは思ってました。」
リ「そうか!その頃から話したくてうずうずしてたからな!」
私「ははは…。」
この会話で今まで疑問に思っていたことがわかった気がした。
この出来事の少し前に期間限定の仕事にも行っていた時期があった。
仕事の内容は期間限定のほうが楽しかったので、このころははそっちに行くことが多かった。
期間限定の仕事をしていた日の休憩時間に派遣会社の現場担当者から小声で話しかけられた。
担「明日のことなんやけど…。ここの職場で確定って連絡あった?」
私が登録している派遣会社は、勤務希望日を伝えて希望が通ると、詳細が書かれた勤務確定メールがくることになっていた。
私「はい。ありました。」
担「そっかー。急で申し訳ないんやけど、明日はここじゃなくてもうひとつのほうで勤務してもらってもいい?」
私「……わかりました。」
担「ごめんね。ありがとう。確定のメールはまた後で届くと思うから。」
私「はい。」
了承はしたもののもやもやした気持ちは持っていた。
私はもう確定メールもらって確定しているのに…。
なんで私なんだろうって…。
前に派遣会社からの電話で「(リーダー)さんが是非(私)さんに来てほしいって連絡があったんですけど、明日勤務できますか?」と言われたことがあった。
実はリーダーのいる会社は、一緒に働いたことのある派遣さんの間ではあまり評判がよくなかった。
女性が多い職場で性格がキツイ人も多かったので、できれば行きたくないという派遣さんが多かった。
だからなかなか人が集まらないのだろうと私は思っていた。
本当に人が集まらないこともあったとは思う。
でもそれだけではなかったんだなとリーダーの話を聞いて思った。