仔猫を抱いてる人が
公園のベンチに座ってる・・・




今日一日歩き回って
ようやく掴んだ情報なんだ。



藍色と赤く染まる夕焼け空に
薄暗く見える公園のベンチから
立ち去ろうとしてる後ろ姿に向かって



「 おぉーい、そこの猫を抱いてるきみーー!
 ちょっと待ってくれぇ!」

結構な音量で呼び止めた。



俺の声が届いたみたいで
その後ろ姿の男が振り返ってくれた。


《 よし!頑張ったな、俺!》


小さく拳を握りガッツポーズをつくる
今日一日の成果が無駄にならなくて
すみそうだ。


そう思ったらなんだか
一気に疲れが背中に押し寄せて
俺の足取りを鈍くさせる。



「 ハァ、、ハァ、、きみの抱いてる猫を、、、
見せてくれないか?、、ハァ、ハァ、、」


ゆっくり歩きながら
仔猫を抱いてる男に話しかける。


「 えっ? 猫、、、ですか? 
はい、、、どうぞ。」


近づいてみると、案外背丈があるんだなぁ…って
一瞬、雑誌のモデルなんじゃないかと
魅入ってしまった。


俺の目の前に
抱いてた仔猫が差し出される。




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《 うわっ…ちっせぇ~~ こりゃ…猫違いだな…残念 》



「、、、んん~~ 友人に頼まれたんだけどさ、、、確かぁ、、、こんなに小さくなかったな、、あっ、ごめん、ありがとな(笑)」


また・・・振り出しか・・・
ちと、残念だけど仕方ない。
他を当たるか・・・。


そう思いながら、俺の目の前に立つ男の
顔をみたら


《 あ…… 笑ってる…… 》


きっと、この猫と離れたくなかったんだな。


きみは・・・

*******つづく*******