ぎゅうっと抱きしめながら


俺も誰かにこうされたいんだと
不思議と心の中でそう思えた



空に星が見え出したのに
帰る場所がない
仔猫と僕…



やっぱりこのまま
このベンチが僕らのベッドに
なるのかな…



不意に上着のポケットが
小さな着信音ともに静かに振動した。


「ん? 」
視線をポケットに落としながら
スマートフォンを中から取り出す。


〈 メールが一件届いてます 〉


誰かからのメッセージが届いているのに
ロックが掛かって見れそうにない。



《 はぁ… 解除… 出来ない…。 》






「みぃ~   みぃ~  」



腕の中で仔猫が心配そうな瞳で
僕の事を見るから


《 大丈夫…大丈夫だから… 》


口には出さずに
僕も同じように仔猫の瞳を見て
頷いた




「 このままここに寝るのも悪くないけど、やっぱりどこか寝られる場所…探すか」




立ち上がり公園を後にしようとした時



「あぁーいたぁぁ!    おおーい猫を抱いてる君ーー
止まれぇーー止まってくれぇぇ」




僕を呼んでる声がした。




*******つづく*******