私が瓦礫から這い出たのは
20日やから27年前の今日は
思い出の品や幼少期からの写真など
生きてた証と共に埋まってた
寝る少し前、強烈なフラッシュが焚かれたと思ったら
重低音の地鳴り
ドンと突き上げられたら
グシャッと二階が一階になった
毛布を被りながら色んな声を聞いた
ずっと埃臭い暗闇
戦争が起こったと思った
実際、瓦礫から這い出た時
神戸の街を見て
まだ燃えて黒煙上げてる兵庫区、長田区の浜側
倒れた電柱、倒壊した家
戦争なんや
関西で生まれ育ったから
地震なんて頭にない
着の身着のまま
生きてた証も出せず
瓦礫を避けながら
大阪を目指す
その間、生きてるか死んでるか分からん声
30キロしか離れてない大阪は
眩しいほど別世界
百貨店から食べ物の匂い
煤と埃だらけの毛布被った私が浮く
歩く人、みんな普通に綺麗にしてはる
そこからは遠方に住む友人の親族から電話や手紙で
安否確認して欲しいと
すぐ神戸に戻り避難所や
遺体安置所を回る
たくさんの遺体を見た
綺麗な遺体は珍しいくらい
すみません
すみません
ごめんなぁ
手を合わせながら悲しい報告
もう27年
私には過去が無い
だから前だけ見てる