こんにちは。

渡邉ひとしです。

 

第333話のテーマは

『優れた技術で伸びた企業の転換期』です。

 

(ブログは月・水・金曜の投稿です) 

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写真レンズの技術で成長した会社

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1917年7月に

光学兵器の国産化を目的として

 

<東京計器製作所>の光学部と

<岩城硝子製造所>の反射鏡部門を統合して

 

三菱財閥4代目総帥である

岩崎小彌太氏の個人出資により

<日本光學工業>が設立されました。

 

1923年以降は

大日本帝国海軍向け光学兵器の開発以外に

 

大日本帝国陸軍向け光学兵器の開発も

担当するようになりました。

 

1931年に

写真レンズの商標を

「ニッコール」(Nikkor)と決めました。

 

1946年に

大東亜戦争終結に伴い民生品の生産に転換し

 

35mmカメラの名を

「ニコン」(Nikon)と決めました。

 

1959年に

ライカ判一眼レフカメラ

「ニコンF」を発売しました。

 

1962年に

国産初の大型天体望遠鏡を

東京天文台に設置しました。

 

2007年に

デジタル一眼レフカメラ

「D3」を発売しました。

 

2016年に

社内の構造改革のため1000名程度の

希望退職者を募集すると発表しました。

 

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<ニコン>のビジネスモデル

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2017年10月に

建設を進めていた細胞培養施設を

2018年に本格稼働すると表明しました。

 

製薬会社から再生医療に使う

細胞の開発や生産を受託する考えです。

 

同じく2017年10月に

中国のデジタルカメラ工場を

閉鎖する方針を固めました。

 

2016年11月から進めている

構造改革の一環ですが

 

スマートフォンの普及で

コンパクトデジタルカメラ市場は

ピーク時の10%程度まで減少しています。

 

中国江蘇省にある工場は

低価格のコンパクトデジカメと

 

一眼レフカメラ用交換レンズを

生産していますが

 

中国工場で生産する

低価格のコンパクトデジカメは

販売不振が続き稼働率も低下していました。

 

2018年2月に

バイオ医薬品開発の<バークレー・ライツ>に

追加出資すると発表しました。

 

あわせて細胞株を短期間で開発できる

バークレーの装置の

国内独占販売を始めました。

 

今後はニコンの光学技術を生かし

抗体医薬品や再生医療など細胞関連分野の

製品やサービスを共同開発していく考えです。

 

2018年3月に

動いている物体の振動数を

計測する技術を開発しました。

 

マーカーなど既存の技術に比べて

カメラに写る全ての範囲の

振動数を測定することができます。

 

さらに

物体の3次元の形状も

同時に測ることができます。

 

振動数は自動車の開発や

橋などのインフラの点検

 

人の呼吸などの計測で

幅広い用途があると見ていて

実用化に取り組んでいきます。

 

2018年4月に

デジタル一眼レフに搭載の高級センサーを

ミラーレスカメラに採用すると表明しました。

 

一眼レフとの需要の食い合いを恐れ

高性能センサーの転用に消極的でしたが

 

ミラーレスの市場の広がりを

見過ごすことができなくなりました。

 

2018年5月に発表した

「2018年3月期」の連結決算は

純利益が前期の8.8倍になりました。

 

構造改革による固定費の削減効果が出て

採算のいいデジタル一眼レフが

好調なことなども追い風になりました。

 

2018年7月に

眼科用医療機器商社の<中央産業貿易>を

買収すると発表しました。

 

2015年に買収した英国<オプトス>の

機器販売や保守を手掛けていて

 

全国の販売網を活用して

国内販売を強化する狙いです。

 

同じく2018年7月に

ミラーレスカメラに再参入することを

表明しました。

 

2017年に生産を中止しましたが

市場が急拡大したことで方針を転換します。

 

<ニコン>の牛田一雄社長は……

 

「今後市場はミラーレスの方が伸びる」

 

「フルサイズの高級カメラ市場で

世界シェア1位を目指す」と述べています。

 

2018年12月に

自動運転で使うセンサーを開発・製造する

 

米国の<ベロダイン・ライダー>に

出資したと発表しました。

 

自社の光学技術などをセンサーの開発に

活用できると考えています。

 

2019年2月に

馬立稔和常務執行役員が4月1日付で

社長に就任する人事を発表しました。

 

「速く激しく変化する世の中により

機敏に対応する会社にしていきたい」

と決意を述べています。

 

「社内の技術だけでは今後

優位性が続くことはない」と語り

 

M&Aや他社との提携を通じて

必要な要素を補強する考えを

記者会見で示しています。

 

ミラーレスの復活は

ニコン再生の象徴にも見えますが

 

カメラ市場は成熟し

成長エンジンにはなりません。

 

2017年に創業100周年を迎え

新たな成長事業が育っていないことが

浮き彫りになっています。

 

主力のデジタルカメラや

半導体露光装置が振るわず

 

2017年3月期は人員削減を含む

構造改革に踏み切りました。

 

技術は優れていても

ビジネスにうまく繋げることに

大きな課題を持っています。

 

これから100年の成長戦略を描く

ビジネスモデルを構築することが

喫緊の課題になっています。

 

 

*次回のブログは3月25日月曜日です

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今日の事例で何を学べるでしょうか?

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1つの技術で伸びてきた企業は……

100年に一度の大転換期を迎えたことで

 

今までの技術や事業を超える

将来への成長戦略を描き

新たなビジネスモデルを構築することが

喫緊の課題になっている。

 

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【ご連絡先】

未来志向:経営コンサルタント:渡邉ひとし

E-mail:mirai-design@ogaki-tv.ne.jp

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TEL:052-766-6988

Mobile:080-4806-1553

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中部大学 非常勤講師

愛知産業大学 非常勤講師

株式会社 未来デザインカンパニー 

代表取締役 渡邉ひとし

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〔投稿内容〕

投稿文の数字及び企業名などは

日経新聞などの公開情報に基づいた

記述に徹しています。

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