こんにちは。
渡邉ひとしです。
第316話のテーマは
『将来までの足場固め』です。
(ビジネスモデル=月曜・金曜の平日投稿)
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合併により設立された会社
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<住友電工>や<フジクラ>と
電線御三家と呼ばれる<古河電機工業>。
1884年に
古河鉱業(古河機械金属)の一部門として
本所溶銅所として創業しました。
山田与七氏が横浜に
<山田電線製造所>を創業しました。
1896年に
<山田電線製造所>を
<横浜電線製造>に社名変更しました。
1906年に
日光に<日光電気精銅所>が
設立されました。
1920年に
<本所溶銅所><日光電気精銅所>
<横浜電線製造>の3社が合併して
<古河電気工業>が設立され
<古河鉱業>からも独立しました。
主な取扱品目は……
◉ 光ファイバー:世界3位
◉ 電線:世界5位。
◉ 自動車エアバッグ用ステアリング
ロール・コネクター:世界1位
◉ リチウムイオン電池材料:世界1位。
◉ ハードディスク用アルミ基板:世界1位
<富士電機><富士通>とともに
「古河グループ」の中核企業になります。
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古河電機工業のビジネスモデル
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2017年5月に
「2018年3月期」の連結純利益が
前期比14%増の予測と発表しました。
情報通信業界向けの
光ファイバー・ケーブルは
北アメリカに加えて欧州や中国でも
好調な販売を見込んでいます。
小林敬一社長は……
「2019年3月期までに
生産能力を20%増強する」と
光ファイバーの増産計画を説明しました。
光ファイバーの世界需要は今後も
年数%伸び続けると予測されています。
2017年7月に
植物由来の新素材である
セルロースナノファイバーを使う
樹脂の製造コストを現状の10分の1以下に
下げる技術を開発したと表明しました。
鉄などの素材より大幅に軽いため
コストを下げれば環境性能の向上が課題の
自動車向けに需要が見込めます。
セルロースナノファイバーは
重さは鉄の5分の1程度ですが
強度は3~5倍あります。
<古河電機工業>は「2017年3月期」の
売上高の4分の1以上を
自動車関連製品が占めています。
2017年8月に
EV用リチウムイオン電池の電極などに
使用する銅合金を溶接するときに
金属の微粒子が飛散して
品質が安定しない問題を抱えていましたが
レーザー加工に合わせて銅合金の素材成分や
めっきの厚みなどを最適化して
金属の微粒子の飛散量を70%以上
削減する技術を開発したと表明しました。
2017年9月に
光ファイバーの製造能力を
2019年までに2016年度比で
約2倍に引き上げる計画を発表しました。
次世代の超高速無線通信「5G」が
2020年に世界で導入されるため
光ファイバーを生産拡大する考えです。
2017年11月に発表した
「2017年4~9月期」決算は
連結純利益が前年同期の3.3倍でした。
光ファイバー・ケーブルなどの
インフラ事業が好調でした。
スマートフォン向けの巻き線や
自動車部品も販売が伸びました。
小林敬一社長は
「全ての事業部門で増収増益だった」
と述べています。
2018年2月に発表した
「2017年4~12月期」の連結決算は
純利益が前期比55%増でした。
電装エレクトロニクス事業が好調で
機能製品事業も伸びました。
同じく2018年2月に
国内アルミ圧延最大手の<UACJ>の
役員人事に反対すると表明しました。
<UACJ>は<古河スカイ>と
<住友軽金属工業>が経営統合により発足し
現在は<古河電機工業>の
持ち分法適用会社になります。
2018年4月に
<UACJ>の首脳人事が決着しました。
6月下旬以降も山内重徳会長と岡田満社長の
代表権を維持する人事案に対して
「3人の代表権は権限が曖昧」として
筆頭株主の<古河電機工業>は反対を表明。
今回で両名が相談役に就任するという
結論に至り新人事が決着しました。
2018年5月に発表した
「2018年3月期」の連結決算は
純利益が前期比62%増でした。
新型車に採用された自動車用電線や
スマートフォンに使う巻き線の
販売が好調でした。
一方で
「2019年3月期」の連結純利益が
前期比19%減の予測と発表しました。
今期に海底電力ケーブルの大型案件を
初めて受注する見通しですが
生産や設置工事のコストが膨らみ
赤字になる見込みをしています。
同じく2018年5月に
自動車用組み電線の
生産能力増強に乗り出すと表明しました。
2025年までにフィリピンの工場に
100億円を投資して工場建屋を増設します。
北アメリカ市場向けを中心に
需要が拡大していることに対応する考えです。
2018年8月に
千葉県市原市の工場で2025年度までに
150億円程度を投資して
電気を送るケーブルの生産能力を
2倍以上に高めることを表明しました。
洋上風力発電所向けなど
増えるインフラ需要を取り込む狙いで
エネルギーインフラ事業の売上高は
2025年度に1500億円超と
2017年度比の50%増程度を目指します。
2018年11月に
電装エレクトロニクス部門や銅箔事業
北アメリカの光ケーブル事業や
電力事業は堅調ですが
超高圧海底ケーブルなどへの設備投資や
研究開発費がかさむため
最終減益になる見込みと表明しました。
<古河電機工業>は将来の
「5G」や「IoT」への対応のため
工場などの生産能力を拡大する方針を掲げ
大型の投資を計画しています。
これら大型投資が足かせにならないよう
足場を固めていくことが求められています。
(*次回投稿は11月16日金曜です)
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【経営の無料相談2時間:連絡先】
ブランド経営コンサルタント 渡邉ひとし
(株)未来デザインカンパニー 代表取締役
E-mail:mirai-design@ogaki-tv.ne.jp
TEL:052-766-6988
Mobile:080-4806-1553
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今日の事例で何を学べるでしょうか?
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将来の需要を期待して
大型投資を続ける企業は……
将来の需要が具体化するまでの
数年間の業績を安定させることが
経営陣に求められる。
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経営コンサルタント(ブランド経営)
(社)ビジネスモデルイノベーション協会
公認ジュニアコンサルタント
愛知産業大学 非常勤講師
中部大学 非常勤講師
株式会社 未来デザインカンパニー 代表取締役
渡邉ひとし
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〔投稿内容〕
投稿文の数字及び企業名などは
日経新聞などの公開情報に基づいた
記述に徹しています。
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