こんにちは。
渡邉ひとしです。
第313話のテーマは
『じっくり取り組む忍耐力』です。
(ビジネスモデル=月曜・金曜の平日投稿)
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合併を重ねて大きくなった
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<LIXIL>は
「住」(LIVING)と「生活」(LIFE)から
作られた造語になります。
1923年に
潮田竹次郎氏が建具小売業である
<妙見屋商店>を設立しました。
1949年9月に
<日本建具工業>として
会社を設立しました。
1971年に
販売会社6社を合併して
<トーヨーサッシ>に商号を変更しました。
1985年11月に
新日本製鐵の元子会社だった
<日鉄カーテンウォール>を合併。
1992年に
<トステム>に商号を変更しました。
2001年10月に<トステム>を
<INAXトステム・ホールディングス>に
商号を変更して
<INAX>を<INAXトステム・HD>の
完全子会社にしました。
2004年10月に
<INAXトステム・HD>が
<住生活グループ>に商号変更しました。
2010年4月に<LIXIL>を設立して
<新日軽>と<サンウエーブ工業>を
完全子会社化にしました。
2011年4月に
<INAX><新日軽><トステム>
<東洋エクステリア>と
<LIXIL>の5社を合併して
2代目<LIXIL>を誕生させました。
2012年7月に
<LIXILグループ>に商号を変更しました。
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LIXILグループのビジネスモデル
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2017年5月に発表した
「2017年3月期」の連結決算は
最終損益が425億円の黒字になり
2期ぶりに黒字転換しました。
<LIXILグループ>の瀬戸欣哉社長は……
進めている事業売却やコスト削減による
粗利改善などについて
「まだ刈り込みは終わっていない
今期も仕込みの時期だと思っている」
「当社は5社が統合して誕生した上
海外で相次いで買収を行ってきた
色々なきしみは当然来る」と述べました。
住宅建材会社や中国のドア製造会社などの
低採算子会社を売却し
肥大化した組織のスリム化を進めたため
採算が改善しました。
<LIXILグループ>の瀬戸欣哉社長は……
「経営は1年や2年の結果で
考えるべきではなくて
この会社を長く支えてくれる従業員や株主
お客様のためにやらなければならない」
「今の株価を上げるのを目的にして
短期的な売上を伸ばすことは考えていない」
「株価だけを見て
一喜一憂するような経営はしたくない」
さらに
「商品開発やデザイン
マーケティングが不足している」
「ここをキャッチアップして
いかないといけない
しっかりと投資をしていく」
と述べています。
2016年6月に工具通販大手の
<モノタロウ>創業者である瀬戸欣哉氏が
<LIXILグループ>の社長に就任して
積極的に進めてきたのは
既存事業の利益率を高める路線です。
「2017年3月期」は組織を刈り込む時期
として事業の選択と集中を進めてきました。
住宅建材会社や中国のドア製造会社など
利益率が低い会社を矢継ぎ早に売却しました。
執行役員以上の経営幹部を半減させるなどの
組織のスリム化も進めました。
2017年8月に発表した
「2017年4~6月期」の連結決算は
本業のもうけを示す事業利益が
前期比27%増加しました。
瀬戸欣哉社長が推し進める
「国内回帰」の戦略の成果と言えます。
松本佐千夫最高財務責任者は
「国内の水回り部門は市場の伸びを
上回る成長だった」と述べています。
同じく2017年8月に
イタリアの建材子会社である
<ペルマスティリーザ>を売却すると
発表しました。
ビルの外壁材を手掛ける会社ですが
収益率が低いため売却をすることで
財務体質を改善します。
売却先は中国の建築設計や装飾などの
<グランドランドグループ>です。
2017年9月に
南アフリカの住宅設備会社である
<グローエ・ドーン・ウォーターテック>を
完全子会社化すると発表しました。
アフリカの水栓金具などの水回り市場は
成長が見込まれるため
完全子会社化することで意思決定を早め
ブランディングやマーケティング活動を
強化するのが狙いです。
2017年10月に
<東京電力>とゼロエネルギー住宅販売で
タッグを組んで
新会社である
<LIXIL TEPCO スマートパートナーズ>を
設立して販売を始めました。
太陽光発電の売電収入を見込んで
顧客が負担する初期費用をゼロにすることで
普及が進んでいない現状打破を目指します。
2017年12月に
中国のシステムキッチンの製造・販売事業で
家電大手の<海爾集団(ハイアール)>との
合弁を解消する方針を固めました。
持ち株すべてを<ハイアール>側に売却して
事業の選択と集中を進めます。
2018年1月に
インドの衛生陶器メーカーである
<センティニ・サニタリーウェアズ>を
買収しました。
インドで拡大が見込まれる
トイレ設備の需要を取り込みます。
2018年5月に発表した
「2018年3月期」の連結決算は
株式売却益の計上などがあり
純利益が前期比28%増でした。
住宅向けの建材が苦戦し
アルミニウムなど原材料価格が高騰したため
事業利益は前期比16%減でした。
2018年5月に
開催された新商品の発表会で
「トステム」ブランドを復活させました。
今回の「トステム」復活は
ブランド戦略の大きな転換になります。
当時のように製造・技術・販売の
部門の連携を密にする体制をつくり
新しく研究開発センターを建てました。
2018年10月から
IoTを活用した宅配ポストになる
「スマート宅配ポスト」を発売しました。
スマートフォンと宅配ポストがつながることで
荷受け通知やカメラ機能による荷物の見守り
既に荷物が入っている場合でも
外出先からスマホで解錠して
複数の荷物を受け取るなど
従来の宅配ボックスでは
できなかったことが可能になります。
同じく2018年10月に
「2019年3月期」の連結純利益が
前期比97%減になる見通しを発表しました。
アルミサッシなどの既存事業による
落ち込みが大きな要因です。
2018年10月31日に
瀬戸欣哉社長が2019年3月末で
退任する人事を発表しました。
創業家の潮田洋一郎取締役会議長が
2018年11月から
会長兼CEOに就任しました。
「再び積極経営に転じたい」という
今回の社長交代の理由説明ですが
日本国内の新築着工の落ち込みや
海外での事業の不振を
M&A(合併・買収)で挽回できるか?
さらに
次期社長に就任するのは
<イオン>から2016年に
<LIXILグループ>の取締役に就任した
社外取締役の山梨広一氏ですが
社長としての経験はありません。
連結売上高1.8兆円という
巨大企業グループの舵取りは
けっして容易ではありません。
主力事業を見直し
新たなビジネスモデルを構築することが
喫緊の課題になります。
今しばらく
夜明けを待つしかなさそうです。
(*次回投稿は11月5日月曜です)
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【経営の無料相談2時間:連絡先】
ブランド経営コンサルタント 渡邉ひとし
(株)未来デザインカンパニー 代表取締役
E-mail:mirai-design@ogaki-tv.ne.jp
TEL:052-766-6988
Mobile:080-4806-1553
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今日の事例で何を学べるでしょうか?
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社長が交代するたびに
大きく方向転換する企業は……
将来の成長の柱が見えていないため
確立されたビジネスモデルがない。
中長期の展望に沿って
新たなビジネスモデルに
じっくりと取り組むことが
必要不可欠になる。
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チェックできる本になっています。
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【ビジネスモデル9項目】
◉理想のお客様 ◉協力者 ◉主要活動
◉選ばれる理由 ◉収益 ◉チャネル
◉提供する価値 ◉コスト ◉経営資源
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経営コンサルタント(ブランド経営)
(社)ビジネスモデルイノベーション協会
公認ジュニアコンサルタント
愛知産業大学 非常勤講師
中部大学 非常勤講師
株式会社 未来デザインカンパニー 代表取締役
渡邉ひとし
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〔投稿内容〕
投稿文の数字及び企業名などは
日経新聞などの公開情報に基づいた
記述に徹しています。
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