こんにちは。
渡邉ひとしです。
第311話のテーマは
『グループの将来への転換点』です。
(ビジネスモデル=月曜・金曜の平日投稿)
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分社化するという企業風土
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1943年に
陸軍の航空用発動機の量産のために
<トヨタ自動車工業>と
<川崎航空機工業>の共同出資によって
<東海航空工業>として設立されました。
のちに既存企業との社名の重複が発覚して
<東海飛行機>に社名を変更しました。
1949年6月に
<東海飛行機>が<愛知工業>へ
社名を変更しました。
航空機部品の生産から
ミシンや自動車部品の生産へ転換しました。
1965年8月に
<新川工業>と合併して
<アイシン精機>に社名を変更しました。
<アイシン精機>には
ひとつの事業が大きくなった場合は
分社化するという特徴があり
2018年3月の時点で
グループ会社は連結子会社が国内に82社
海外に128社となっています。
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アイシン精機のビジネスモデル
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2017年4月に
寝具メーカーの<エアウィーヴHD>と
寝具の販売や商品開発で提携しました。
7月に共同開発のマットレスを発売し
共同で販売促進活動も手掛けています。
2017年8月に
西尾ダイカスト工場で
自動変速機用のトランスミッションケースの
新工場棟を稼働したと発表しました。
中国などで運転操作がしやすい
自動変速機の需要が増えているため
取引先が拡大しています。
同じく2017年8月に
<アイシン精機>の子会社である
<アイシン・エィ・ダブリュ>と
<アイシン化工>の新社長が就任したため
共同記者会見を開きました。
<アイシン精機>の伊原保守社長は……
「トランスミッションやエンジンなどが
全て無くなると1兆円近い売上高がなくなる」
と記者会見で述べて
電気自動車などの電動化シフトへの対応を
急ぐ考えを強調しました。
溯ること2016年9月に
グループ横断で人材を集めた開発者集団の
「次世代開発委員会」が発足しました。
「ゼロエミッション」「自動運転」
そして「コネクテッド」のテーマで
次世代の核となる人材や技術を集めました。
エンジン車の部品供給という従来型の事業が
先細るリスクが高まっているため
未来の事業開発を目指しています。
2017年10月に
<アイシン精機>の伊原保守社長は
新型の自動変速機を2018年度から
量産する方針を明らかにしました。
エンジンと変速機を切り離すことで
電気での走行が可能になり
大幅な燃費向上が見込めます。
国内や中国での工場の新増設や
工場の新設で生産能力を引き上げ
2020年には現状の30%増となる
1250万台に拡大すると発表しました。
2017年11月に
寝具やミシン、家庭用燃料電池などの
住生活関連の売上高を倍増させて
2020年に1000億円を目指す方針を
伊原保守社長が掲げました。
2017年12月に
無人の自動駐車システムを2022年以降に
実用化すると表明しました。
大規模な駐車場を想定したシステムで
人が乗降場で降りると
自動車が自動で駐車する仕組みです。
2020年までに
自宅の駐車場向けの自動駐車システムを
2022年には
マンション駐車場で自動走行しながら
駐車するシステムを実用化する考えです。
2018年1月に
アメリカのシリコンバレーに投資ファンドを
共同で設立すると発表しました。
電気自動車などの電動化や人工知能などに
優れた技術を持つスタートアップ企業を
発掘し投資する考えです。
<アイシンAW>のほか1社と共同で
<フェノックスベンチャーカンパニー>を
設立します。
2018年2月に
人工知能技術開発のベンチャーである
<イデイン>と資本業務提携することで
合意したと発表しました。
自動運転向けの画像認識に人工知能を使い
運転者のモニターシステムなどの開発を
加速させる狙いです。
<アイシン精機>がベンチャーと
資本提携するのはこれが初めてです。
2018年3月に
<アイシン・エィ・ダブリュ>は
欧州自動車大手の仏グループ<PSA>と
自動変速機の生産のライセンス契約を
締結したと発表しました。
「FF6速」と呼ばれるタイプの
自動変速機の生産ライセンスを付与します。
<アイシン精機>は
1人乗りの電動超小型モビリティである
「ILY―Ai(アイリーエーアイ)」を
2020年の製品化に向けて
本格的に動き始めました。
時速6㎞まで出せて
1回の充電で25㎞走れます。
法律では公道走行はできないため
テーマパークや工場での移動などを
事業として想定しています。
2018年7月に
<アイシン精機>の社長に6月に就任した
伊勢清貴社長が取材に対して
「構造改革を進め
これからも成長できる基盤を作るのが役割」
という考えを示しました。
自動車業界の『100年に1度』
といわれる変革期を迎えて
「古いものや競争力がなくなったものはやめ
人員や資金を電動化分野に回すといった
『スクラップ・アンド・ビルド』が不可欠」
と述べ
グループ内での危機感を共有して
構造改革を必死でやる考えを示しています。
国内外で210社に及ぶ子会社を持ち
グループの主要会社が14社という
<アイシン精機>にとって
『100年に1度』の変革期に
どのようなビジネスモデルを選択するのか?
伊勢清貴社長の経営の舵取りによって
グループの将来が決まるという
重要な転換点を迎えています。
(*次回投稿は10月29日月曜です)
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【経営の無料相談2時間:連絡先】
ブランド経営コンサルタント 渡邉ひとし
(株)未来デザインカンパニー 代表取締役
E-mail:mirai-design@ogaki-tv.ne.jp
TEL:052-766-6988
Mobile:080-4806-1553
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今日の事例で何を学べるでしょうか?
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外部環境の変化によって
従来の主要な事業の
リスクが高まっている企業は……
自社の強みを生かした
将来の成長の柱を
育成する必要が急務になる。
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◉理想のお客様◉協力者◉主要活動
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経営コンサルタント(ブランド経営)
(社)ビジネスモデルイノベーション協会
公認ジュニアコンサルタント
愛知産業大学 非常勤講師
中部大学 非常勤講師
株式会社 未来デザインカンパニー
代表取締役 渡邉ひとし
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〔投稿内容〕
投稿文の数字及び企業名などは
日経新聞などの公開情報に基づいた
記述に徹しています。
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