こんにちは。
渡邉ひとしです。
第226話のテーマは
『安定した需要の確保』です。
(ブログ=月水金の平日投稿です)
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社名の呼び方に……疑問?
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<SUMCO>という会社を
ご存知でしょうか?
この社名は
「スムコ」と読むのではなく
『サムコ』と読みます。
1999年に
<住友金属工業(新日鐵住金)>と
<三菱マテリアルシリコン>と
<三菱マテリアル>の共同出資で設立。
設立時の社名は
<シリコンユナイテッド
マニュファクチュアリング>でした。
2002年に
<三菱マテリアルシリコン>と合併して
<三菱住友シリコン>に社名変更。
そして2005年に現在の
<SUMCO>に社名変更しています。
しかし
会社の沿革を見ると
出資会社の<住友金属工業>から
<スムコ>と読みたくなるのは
私だけでしょうか?
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<SUMCO>のビジネスモデル
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<SUMCO>の事業は
半導体用シリコンウェハーの製造です。
シリコンウェハーとは珪素の塊を
厚さ1mmほどに切断したもので
おもに集積回路の製造に
使用されています。
その半導体産業は
数年の単位で好不況を繰り返していて
「シリコンサイクル」と呼ばれています。
2016年1〜6月期の決算は
前年同期比79%減の純利益でした。
パソコン向けの半導体需要が低迷して
さらに円高が追い打ちを掛けました。
この時期の半導体需要は
パソコン向けが低迷していたのです。
データセンターやスマートフォン向けの
半導体需要は比較的に堅調でしたが
2016年1〜9月期の決算も
前年同期比78%減の純利益でした。
この時期は
シリコンウェハーの価格下落や
円高の進行が収益を圧迫しています。
しかし
2016年11月頃には
シリコンウェハーの需要に対して
生産が追いつかない状況になりました。
ロジックICなどに使う
「300㎜シリコンウェハー」や
センサーなどに使う200㎜以下の
シリコンウェハーの需要も好調です。
これまでのシリコンウェハーの
供給過剰がようやく解消してきました。
そして2017年1月に
シリコンウェハーの値上げに
踏み切ったのです。
このような本格値上げは
11年ぶりでした。
海外半導体メーカーとの個別交渉で
値上げが受け入れられたのです。
しかし
これまでの受注の低下や
価格の下落が響いたことで
2016年12月期の連結営業利益は
前期比の67%減になりました。
ところが一転して
2017年1~3月期連結決算は
純利益が前年同期比2.3倍になります。
これは シリコンウェハーの需要の高まりと
販売価格の上昇がおもな要因です。
2017年8月には
シリコンウェハーの製造設備を
増強すると発表しています。
10年ぶりの大規模投資になる
約436億円もの投資をして
来年2019年の稼働を目指します。
IoTや自動運転車やスマホなどの
データ通信量が増え続けていることで
半導体の需要が旺盛になり
そのためシリコンウェハーの需要が
高まっているのです。
半導体メーカーからの需要に対して
フル操業の生産が
追いつかない状況が続いていて
2017年1~6月期連結決算が
前年同期比4.2倍の純利益にもなり
今回の大規模な生産設備の増強を
決断するに至ったようです。
現在では
<SUMCO>と<信越化学工業>が
世界シェアの約60%を占めていて
アメリカの<インテル>などの
半導体メーカーに供給しています。
半導体製造装置の国際業界団体である
<SEMI>の予測によると
半導体の基板に使うシリコンウェハーの
2017年の出荷面積は
前年を8.2%上回り
過去最高になる見通しです。
このように需要が好調な理由は
従来のパソコンやスマホだけではなく
その半導体の用途が
自動車や医療関係などにも
幅広く伸びているからです。
<SUMCO>の
2017年12月期の純利益は
前期比3.7倍の246億円の見込み。
さらに
2018年12月期の営業利益を
777億円と見込んでいます。
ここまで大幅に増益を見込めるのは
低迷していた価格の上昇が要因です。
橋本真幸会長兼CEOは……
「2018年も20%の値上げが実現し
2019年も値上げが進む」
という強気の見通しを立てています。
しかし
これは根拠のない見通しではなく
大手半導体メーカーとの間で
長期契約を結び始めていることで
継続した増益を見込んでいるのです。
2017年10月に<新日鉄住金>が
SUMCO株を一部売却したため
<三菱マテリアル>が
単独の筆頭株主になりました。
橋本真幸会長兼CEOは
<三菱マテリアル>の副社長でした。
今後は
<三菱マテリアル>との関係が
より深まることが予想されます。
<SUMCO>が独立した経営を
進めていくことができるかどうかで
そのビジネスモデルが
書き換えられる可能性が出てきます。
(次回ブログ=31日水曜に投稿します)
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このことから何を学べるでしょうか?
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需要が不安定な事業は……
相手先の業界の良し悪しで
おおきく業績が変わってしまう。
多方面に需要を拡げることで
安定した需要を確保できるため
成長路線の経営を描くことができる。
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