米アップルを日本の中小企業、島野製作所(東京都荒川区)が昨年8月、特許権侵害と独占禁止法違反で訴えた裁判が、佳境を迎えている。アップルは特許を持つ島野の社員に、共同特許にするように働きかけたり、「特許無効審判」を提起するなど、なりふり構わぬ戦術で優位に立とうとしているという。一方の島野は6月初旬、アップルに部品を供給しているアジアの製造会社に、特許を侵害しているとして販売差し止めを請求。時価総額で世界最大の企業に対し、一歩も引かずに立ち向かっている。
島野側が「独禁法違反」と主張しているのは、突然発注を止められ、再開のためにやむなく値下げ要求に応じた同社に対し、13年5月にアップルが約159万ドル(当時の1ドル=102円程度で計算すると、約1億6000万円)のリベートを求めてきたとされる問題などだ。これは値下げ前に島野から買い、アップルの在庫になっていたピンの数に、値下げ分の金額をかけた額だと言われたが、島野は支払わざるを得なかったという。島野側は、すでに販売したピンへの不当な値下げ要求で、下請けに対する「優越的地位の乱用」に当たるとしている。この問題については年内にも何らかの判断が出る見通し。公正取引委員会も関心を寄せているようだ。