02) ベトナム訪問の経緯
02) ベトナム訪問の経緯 Kim Sinh - vietnamese "cải lương" guitarist -
今回のベトナム訪問のきっかけになったのは、ゴンチチの二人が進行役を務めたテレビ番組 "世界音楽遺産" で、キム・シン氏のギター演奏を聴いたことだった。
キム・シン氏は、カイルオンと呼ばれる劇の伴奏音楽を一代で確立した人物として紹介され、ゴンチチとの即興演奏ではこれまで聴いたことがないイディオムからなる演奏を聞かせた。
国内で手に入る氏の CD を購入して聴き込むほどに、ハノイに住むキム・シン氏の演奏を生で聴きたいと思う気持ちが強くなっていった。
[Music from Vietnam 4/Kim Sinh] (2003)
[The Art of Kim Sinh/Kim Sinh] (1991) 邦題: ベトナムのブルース-孤高のメロディ
そんな時にふと立ち寄った書店で、沢木耕太郎氏の著作 "一号線を北上せよ" が目に付いた。
ホーチミンからハノイまでバスを使って移動し、立ち寄った街々での体験を著したものである。
沢木氏特有の語り口にぐいぐいと引き込まれてしまい、私もベトナムを縦断してみたいと強く駆り立てられたのだった。
かつて沢木氏の深夜特急を読んで駆り立てられた夢が、再び首をもたげて来たとも言える。
キム・シン氏と沢木耕太郎氏、この二人に導かれてベトナム行きを決定したのだった。
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01) ホーチミン ~バイクの洪水~
01) ホーチミン ~バイクの洪水~ Ho Chi Minh City - flood of motorbikes -
成田から香港経由で約10時間、ベトナムのホーチミン空港へと到着した。
熱帯の濃密な空気と客引きの声が、体にぬめるようにまとわりつく。
空港から宿へと向かうタクシーの窓から街の喧騒を見て、以前に仕事で滞在した中国をも上回る勢いを感じて何だかとても嬉しくなってしまった。
[A busy intersection in front of a national department store] (2007) 国営デパート前の交差点
庶民の足はバイクで、3人・4人乗りは当たり前、排気ガスで空気はとても汚れている。
信号は有って無いようなものなのだが、地元のおばあさんは天秤棒で荷物を背負ってふらふらしながらも道路をすいすいと渡って行く。
初めての観光客には道路はとても渡れたものではない。
危ない時は現地の人について行くか、ツーリスト・ポリスに一緒に渡ってもらうことになる。
天秤棒のおばあさんについて行くのも格好悪いが、仕方がない。
気が付くと、そんな私にさらについて来ている観光客がいて、顔を見合わせて苦笑することも多かった。
[Mr. Uc, motorbike taxi driver] (2007) バイク・タクシーの Mr. Uc
バイク・タクシーの Mr. Uc には、バイク・タクシー代 1USD で、交通機関の利用法や街の相場情報、観光ポイントと見どころを教えて貰った。
氏は私と同世代であり、それ故の同時代体験・共通体験が有ることが分かり、互いに意外だねと笑いあったものだった。
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