*ネタバレ注意‼︎


予想を覆す衝撃の結末。
読み終わってすぐは、大袈裟かもしれないけど軽い絶望感を味わった。

先生とダメになった時、こういう展開切ないけどめっちゃ好きって思った。だって最後には必ずまたうまくいくって疑いもしなかったから。番外編があると知って、番外編で2人のラブラブ見れるかなってワクワクしてた。だから本当に一瞬パニックになるほど、めちゃくちゃショックだった。けど…丸一日たった今、読者の方々の色々なレビューを拝読して、やはりまだ納得も気持ちの整理もうまくは出来ないけれど、そういう結末もありなのかなと、少しだけ、ほんの少しだけ、思えるようになった。

「ひるなかの流星」だとお互いを表現したのはすずめと先生だったのに、こんな結末はおかしいというレビューがいくつかあった。私も初めはその通りだと思った。でも、先生との恋は、たった一度だけ見た昼間の流れ星のような、儚く不確かな一瞬の奇跡のようなもの。キラキラして、うれしくて、ドキドキして、追いかけて、でも追いつけなくて…。馬村との恋は、寂しい時、不安な時、いつも見守ってくれている確かにそこにある星。こう考えると、この結末も納得のいくものに思えてくるのです。だからこそこの「ひるなかの流星」は、馬村とハッピーエンドだからと言ってすずめと馬村の物語だとは思えない。やっぱりこれはすずめと先生の出会いから終わりまでを描いた儚く切ない恋物語、そしてその失恋を乗り越えて成長する1人の少女の物語だと私は思う。と頭では整理できても、気持ちの方はまだまだ…。

イケメンでオシャレで、大人だけど子供っぽくて、かっこいいけど情けなくて、そんな先生が私は大好きでした。先生とすずめが一緒に歩いていく未来が見たかった。最後の先生の告白、何度読み返しても切なすぎて胸が苦しくなります。だって、「大好きだよ、すずめ」ですよ。初めてニックネームではなく名前を呼んだんです。それはもううまくいくパターンでしか使っちゃダメなやつでしょ(笑)本当にあの時まで先生とのハッピーエンド以外考えてなかった。どっちとくっつくの?そんなハラハラさえしてなかった。

すずめと先生には、生徒と教師というハードルを乗り越えるだけの覚悟と勇気が足りなかったのだと思います。中途半端に始めるべきじゃなかったし、始めたなら簡単に終わらせちゃいけなかった。覚悟を決めて許されざる恋を貫くにはまだまだ未熟な2人だった。さらに当て馬になるはずの馬村がいい男過ぎた。あんな当て馬は反則でしょ。そりゃ人気出るわ。よくある当て馬って、イケメンでモテるけどチャラい、だいたいそういう感じなのに、馬村は女嫌いでクールで、でも決めるとこは決める…とかそれはもうヒーローのキャラクターやん。このひるなかでも、絶対すずめが好きにならないような、よくあるイケチャラ当て馬でよかった。馬村のキャラはまた別のストーリーで本物のヒーローとして読みたかった。確かに馬村はすずめが先生に片想いしている頃から一途に真っ直ぐに想っていたし、すずめが落ちている時はいつもそばで支えた。でも表現の仕方は違えど、先生だって同じぐらいすずめを一途に想っていたと思う。でも先生という立場では、何もかも犠牲にさせる事も、後先顧みずただ気持ちに真っ直ぐに行動する事もきっと難しかったはず。もし馬村が先生の立場ですずめに恋していたとしたら、やっぱり先生と同じ決断をしたんじゃないか…。先生の本当の気持ちを唯一知っていた馬村。もし馬村がすずめにその事を伝えていたら…なんて考えてしまったりもします。

すずめの決断は、決して間違いではないと思う。馬村の隣にいるすずめはすごく自然体でお似合いで微笑ましく思うし、幸せそうなラストも番外編での2人もすごく素敵だと思う。でもどうしても先生の気持ちを考えると、辛い気持ちの方が勝ってしまう。現実的に考えれば当然の結果かもしれないけど、少女漫画だからこそ、現実ではありえない奇跡を見たかった。

番外編「隣の男」も読みました。6年経ってもなお、すずめにもらった寿司ネクタイを大切にしている先生。先生がすずめにプレゼントしたあの小物入れはどうなったのかな…。諭吉さんの結婚式で久しぶりにすずめと再会し、すずめの幸せそうな様子を見て、らしくない泥酔をし、「心から喜べるようになってよかった」と言う先生に、すずめの事をどれほど想っていたのか、想ってきたのかが痛いほど分かり、泣けました。その反面、久しぶりの先生との再会にもあっけらかんとした様子のすずめにちょっとイラっとしました(笑)高2の文化祭、先生の誕生日、すずめの誕生日、クリスマス、初詣で…2人はどんな気持ちで過ごしたんだろう。馬村と幸せに過ごすすずめ、やるせない想いを抱え続ける先生…。(←勝手な想像 笑)何年経っても、12月1日にはすずめを思い出すんだろうな。どうか早く先生にも、すずめ以上に想える人が現れて、幸せになってもらいたいです。

先生がすずめに「君はオレにとってのひるなかの流星なんだ」と告げるシーン、先生の真剣な表情にドキドキした。
あと数センチ届かなかったキス、2人のキスシーン見たかった。
初詣での日、大雪で帰れなくなった民宿で、感情が溢れてすずめを抱きしめる先生。そのまま押し倒していたら…いやいや(笑)
「本当は好きじゃなかった」と嘘ついて立ち去ったあと、1人ベンチに座り「…好きだよ」とつぶやくシーン、めちゃくちゃ泣いた。
馬村の告白、かっこよかった。
体育祭、手作りのハチマキをもらってすずめを抱きしめる馬村。片手ハグにキュンとした。
先生と馬村のリレー対決。最初はリードしていた先生が、最後に馬村に抜かれて負けたあのシーンは、この結末への伏線だったのか。
「お前はまだあいつの事が好きなんだよ」とすずめの背中を押す馬村。男気ハンパねー。
最後の先生の告白。「クリスマス…」から「不甲斐ない大人でごめんな」までのセリフはマジで何度読んでも泣ける。まぶた腫れる。
すずめから馬村への告白後のキス、からの2人のじゃれ合い。かわいい。
先生も馬村もどっちもいい男。大好き。でも…

読めば読むほどハマりにハマって、寝る時間も惜しんで読んだ大好きな漫画。こんな素晴らしい作品を描けるやまもり三香先生、本当に大好きで尊敬します。この作品に出会えた事に感謝しています。これほど心揺さぶられて泣いた作品は初めてでした。でもやっぱり少女漫画は、読み終わったあと、幸せな気持ちになる方がいいです。今はまだ切ない気持ちが強すぎて…。しばらくはもう一度読み返す気分になれそうにありません。