こんにちは、あすなろまどかです。

 

 

 

 

 

 今回は、2023年3月31日に書いた読書感想文を投稿します。

 

 

 

 

 

 今回、感想を書く本は、スティーブン・チョボスキーの『ウォールフラワー』です。ウォールフラワーは直訳すると「壁際の花」、パーティで皆が楽しそうにしている様子を壁際で見ているだけの人のこと、すなわちはみ出し者のことを指します。 

 

 

 

 

 主人公チャーリーは、まさにウォールフラワーという呼び名がふさわしい少年です。彼はいつも離れた所から皆を傍観しています。実際、親友パトリックからは「お前はものを観察する。でも、じっと黙ってる。ただ理解してるんだ」と言われています。

 

 

 このパトリックと、それから彼の義妹であるサムが、チャーリーを壁からそっとパーティへ連れていってくれる二人です。チャーリーは彼らや、彼らの友人など様々な人に出会って、傷つきながら成長していきます。そんな自分の日常を、チャーリーが約一年に渡って手紙形式で私たちに伝えてくれる物語が、『ウォールフラワー』です。

 

 

 大事な人を二人も亡くした過去を持つチャーリーは精神的に不安定な少年で、病院に通っています。突然泣き出したり、悪い考えが巡り続けるのを止められなかったりと、チャーリーは様々な場面で苦悩します。

 

 

 チャーリーのすごいところは、そのような場面に直面したときも決して人のせいにしないところです。むしろ、何があっても自分自身を責めすぎてしまう傾向があり、母からも「そんなに自分を責めないで」という旨のことを言われています。

 

 

 チャーリーはよく『ライ麦畑でつかまえて』の主人公ホールデンと似ているとされますが、私は全く違うと思います。ホールデンも確かに皆の輪の中に入れず、はみ出し者として世間を傍観しますが、彼はそこで起こる悪いことの全てを周囲の人間のせいにしてしまうからです。

 

 

 私はチャーリーと同じで、色々な事態で悩んで立ち止まってしまうのですが、チャーリーのように物事を人のせいにしない人間ではありません。自分を責めると同時に他人のことも責めてしまうのです。それが自らの反省点であり、チャーリーに憧れる理由でもあります。

 

 

 例えば、チャーリーがメアリー・エリザベスという女の子と付き合うことになる場面があります。ところがこのメアリー・エリザベスは自分の趣味を相手に押しつけてしまうところがあり、チャーリーは彼女のそんなところが好きではありません。私なら怒って「そんなに自分ばかり話さないで」と言ってしまうと思いますが、チャーリーは違います。彼はメアリー・エリザベスを一切責めません。ただ彼女の話を受け止め続けるチャーリーを見て、私はチャーリーに尊敬の念を抱きました。口を挟まずに相手の話をただ受け止めるというのは単純な作業のように思えますが、実際は誰にでもできることではないからです。

 

 

 その後、様々な出来事がありメアリー・エリザベスと別れたチャーリーは、メアリー・エリザベスではなく自分のことを責めます。「ぜんぶ自分のせいなんだと分かってる」と。

 

 

 もちろん自分を責めすぎるのは良いことではありません。だから私はチャーリーになるのではなく、心にチャーリーを住まわせたいと思っています。極端に自分だけを責めたり、人のせいにしたりしてしまう人間ではなく、どちらの心も持って客観的に物事を捉え、次に活かせる人間になりたいです。それができたとき、私も、心の中のチャーリーも、本当の「ウォールフラワー」になれると思うのです。壁際の花に。皆を眺める傍観者に。誰よりも大きく美しく咲きほこる、唯一無二の「ウォールフラワー」に。

 

 

 (70分・スペース無視で1418字)

 

 

 

 

 ちなみに、よく『ウォールフラワー』と比較される作品『ライ麦畑でつかまえて』の感想も、以前 書いています。↓