こんにちは、あすなろまどかです。
 今回は、『ルパン三世』と『塔の上のラプンツェル』の相違点について書いた記事を投稿します。






この記事は、2022年2月11日に書いた記事です。






主人公とヒロインが「泥棒とプリンセス」という設定は、カリオストロの城と同じ。


 ただし、クラリスは大人しい性格。(初期設定では活発な性格。)

 ラプンツェルは活発で、どちらかと言うと不二子のようなアクティブさがある。







・ヒロインが「とらわれのプリンセス」という設定は、カリオストロの城と同じ




・ヒロイン(クラリス、ラプンツェル)をとらえる悪役(伯爵、ゴーテル)は、ヒロインそのものを大切にしているわけではない


 (伯爵はクラリスを妻にしようと、ゴーテルはラプンツェルを娘にしようと考えているが、両者ともクラリスやラプンツェルのためではなく、自分の利益のためにそうしている。クラリスの指輪と、ラプンツェルの髪が共通点)







・ヒロイン(クラリス、ラプンツェル)は、愛する者(ルパン、ユージーン)を助けるため、自分を犠牲にしようとする。そして、主人公のルパンもユージーンも、それを拒む


 (カリオストロの城は、「ルパンが銃で撃たれる」という大事件は、物語の中心で起こる。


 塔の上のラプンツェルは、「ユージーンがナイフで刺される」という大事件は、物語の最後で起こる。)







・クラリスもラプンツェルも、ルパンやユージーンの身を案じて涙する




・悪役が「永遠の若さや命」を欲しがっているという点は、ルパンvs複製人間と、塔の上のラプンツェルの共通点。


 永遠の命を欲するマモー、永遠の若さを欲する不二子。そして、永遠の若さと命を欲するゴーテル。


 マモーとゴーテルは完全な悪役だが、不二子は悪役とは言えない(主人公ルパンの「敵役」とは言える。)「ルパン三世」という作品の複雑さが表れている。




・複製人間でのルパンの発言「俺ぁ、夢、盗まれたからな。

 塔の上のラプンツェルでのユージーンの発言「ラプンツェル…君は俺の…新しい夢だ。


 このふたりの発言が、もう決定的に違う。このあとの次元との会話でも分かる通り、ルパンの言う夢とは、「峰不二子」だけではない。ルパンの夢は、「スーパーヒーローの自分」「自分のアイデンティティ」といった、あくまで実態のない、泥棒という職業()をしているからこそ持ち続けている、自分のプライドである。


 ユージーンの言う夢とは、「ラプンツェル」だ。(ちなみに、ゴーテルの夢は「ラプンツェルの髪」である。)ユージーンは、あくまでラプンツェル本人を欲している。このあと、ラストで泥棒をやめていることからも分かるように、この時点でユージーンには「泥棒の自分」というプライドはない


 まとめると両者の指す夢とは決定的に違う。ルパンの夢は「アイデンティティ」、ユージーンの夢は「ラプンツェル」。


 ユージーンはラプンツェル()だけを欲しているが、ルパンは峰不二子()だけではなく、「自分自身が泥棒である」というプライド(実態のないもの)も欲している。


 ルパンの夢の方が、圧倒的に重く、そして哲学的だ。これが、ふたつの作品の違いだろう。


 「塔の上のラプンツェル」は、エンターテイメントをつくるための作品。「ルパンvs複製人間」は、大衆向けとは言えない作品だ。どちらにもそれぞれの魅力がある。







・ラストシーン。ユージーンは盗みをやめ、ユージーンとラプンツェルは結婚するが、「カリオストロの城」では、ルパンは泥棒のままだし、ルパンとクラリスは結ばれない


 これは、「ルパン三世」という作品のヒロインはクラリスではない(ヒロインは不二子)、という現実を、残酷にクラリスに突きつけているシーンだと言えるだろう。


 泥棒のままでいるルパン。泥棒のルパンに合わせようとするクラリス。(私も連れていって。泥棒はまだできないけどきっと覚えます!」)





 泥棒をやめるユージーン。泥棒ではないラプンツェルに合わせるユージーン。





 ラストの主人公とヒロインの運命にも、ふたつの作品の相違点が表れていて面白い。