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私が愛したヅラ様③

鳴かぬなら鳴くまでまとうホトトギス
by徳川家康

脱がぬなら脱ぐまでまとう人工毛
by私

なんて…私の性格は家康ちゃんみたく、気の長い性格じゃない。どちらかと言えば信長ちゃん。

脱がぬなら脱がせてみよう人工毛…である。

早く白黒付けたがる、短気な性格だ。

自毛か人工毛、2つに1つ。さて、どっちだ!

な~んて、面と向かって聞けるはずもなく。その日は悶々としながら過ごしていた。

が、1度目のチャンスが意外と早くやって来た。

私と彼は秋の紅葉、紅葉を見に来ていた。
初めて2人で会い、デ-トみたいなシチュエーションに少し驚いたが、彼が調べて、たててくれただろうプランをこなしていた。

いくらか歩いた所でカフェに入った。
テ-ブルとテ-ブルの間があまり離れていない、ソファーが固定されたカフェだった。
私と彼は向かい合わせに座り、飲み物を頼んだ。
少しして2人分の飲み物が来た。

とりとめない会話をして、飲み物を飲んでいたら、私の携帯が鳴った。
私は鞄の中に入ってた携帯を取り出した。

と、その時、携帯のストラップの部品が落ちた。

あっ!

と思って、その部品を目で追った。

それはコロコロとゆっくり転がり、彼の座っているソファーの下で止まった。

と同時に、彼が言った。

「とろうか?」

とる?ソファーの下だよ…頭を下にさげるんだよ…どうするの…?しヅラだったら…。
ちゃんと装着してるの?
それともとれるって事はヅラじゃないの?

どうなの-???

そんな私の葛藤を知らずに彼は私の目の前で、ソファーの下をのぞきこんだ。

誰もがそうするように、座ったまま、頭だけを下げた。

私が愛したヅラ様②

彼と初めて会ったのは飲み会の席だった。

彼の第一印象はさえない人、気の弱そうな優しい人だった。泣いてるような笑顔をする人、寂しげに笑う人だった。

その時は気付かず…

その飲み会の最後、

今度2人で会えるかな?

と泣き笑い顔で聞かれた。

私は内心、え?、と思ったけど、八方美人な性格が邪魔をして笑顔で、

そうですね。

と答えた。

それからメ‐ルはくるようになったものの、忙しい彼から電話がかかる事はなかった。

私もしいて会いたいわけじゃないから、メ‐ルがきた時だけ、あたりさわりなく返信した。

そんな日々が続いて…

2回目、しかも2人きりで会いたいとメ‐ルで言われた。

誘われた日は空いてる。
生理的に受け付けない程の男ではない。

ま、いいか。

私は彼に会う事にした。

が、ここで簡単に、コンビニ行くぐらいに簡単に、彼に会ってはいけなかったのだ。

それは会ってすぐに違和感を感じるものだった。

この前のうす暗い照明ではわかりづらい部分も、秋のホッとする 太陽の光りの下では、照らし出されてしまったのだ。

ん?あれ?

幼少の頃から父にカツラの極意?を教えてこられた私。
すぐに生え際と髪の先、うなじ辺りに目をやった。

もちろん、彼に気付かれないよう、コンマ何秒の間に盗み見た。

しかしすぐに断言出来るものじゃない。

その瞬間から彼の髪の毛は私を悩ませる事となった。

私が愛したヅラ様①

まさか自分がヅラ様を愛するなんて…

死んだ父が生きていたら?

もうコソコソする事もヒソヒソする事もなく、堂々とヅラ様を見る事が出来たのだ。
しかも今までは憶測ばかりだったヅラ様だけど、確実ヅラ様に会えたのに…
なんてったって娘の彼氏ですもの。

な~んて考えてると、私はヅラ様を愛する為に幼少から父とヅラ様に慣れ親しんでたのかもしれない。

確かにそれによって私はヅラ様を難無く受け入れ、愛する事が出来たんだもの…

ただ…私はヅラ様だと知ってて付き合ったわけではない。

付き合ってから、???なる疑惑を持ち、ある事で発覚、確信へと導いたのだった。
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