イギリスにおける教育改革 | 長井亮の世界人材流動化計画

イギリスにおける教育改革

イギリスというのはキャリア教育が非常に進んでいるとのことです。


本日イギリスのキャリア教育についてお話を聞いてきました。


まず下記を見ていただきたいと思います。



●日本


大学進学率:  55.3%(学校基本調査2008)

教育期間:    4年間

卒業平均年齢: 23.4歳(入学19.3歳)

卒業前に就職活動を開始する割合:

           97%

就職活動期間: 6ヶ月間



●イギリス

大学進学率:  45%

教育期間:    3~4年間

卒業平均年齢: 25.6(入学21.9歳:ギャップイヤー)

卒業前に就職活動を開始する割合:

           48%

就職活動期間: 4.4ヶ月間



ちなみにギャップイヤーを説明すると、大学に進学する前に一年間社会に出て、知見を広めたり、奉仕活動をしたり、企業に勤め、自分自身を見つめなおし、何をしたいかということを見つける期間なのです。

ある調査では、ギャップイヤーを経験した学生は、大学の中途退学率が極端に低いそうです。社会というものをやはり理解しているのとしていないのでは、大学生活の送り方も違いますからね。


この制度を利用しているので、当然大学の入学と卒業が遅れます。


さて今回お話をお聞きして特徴的だったのが、大学でキャリアの定義をしっかりと行い、授業でその訓練を行い、その共通言語で地元企業と握っているということでした。


これを説明する前に「エンプロイアビリティ」というものを説明しなくてはいけません。


エンプロイアビリティとは、職業能力のこと。


ポータブルスキルとか、ジェネリックスキル、トランスファブルスキルとかいろいろと訳されます。ここではあまり深く突っ込まずイメージでお伝えをすると「どこの会社へ行っても通用するスキル」のことです。たとえば、C言語で開発している方が、JAVAの開発環境に行ってもすぐには使い物になりません。これは他の会社へ行っても通用するスキルではないとなります。しかし、物事を主張する能力だとか、人を統率するスキルはどこの会社へ行っても通用するスキルです。こういったものを指します。


さて、イギリスの大学が何をやっているかというと、独自にエンプロイアビリティのモデルを作成し、それに合わせて学校の授業もそれが学べるようにしている。果ては地元企業とその全体像を共有化し、それを元に企業も採用を考えるとのことです。


これは非常に画期的と思いました。


エンプロイアビリティを授業に組み込むのです。

たとえばイメージで言うと、企業においてマーケティングの概略を知ってもらいたいとします。この場合、英語の授業で、マーケティングの概略の本を使ってもらう。

その他、リサーチ能力が企業としてほしい場合は、ビジネスの歴史についてのリサーチを英語で取り組んでもらう。

こんな感じです。

つまり、各授業ビジネスの世界で必要となるようなものを勉強させるのです。

ビジネスと連携するようなものを授業に持ち込むわけなのです。


それ以外にも企業との連携で、企業はボランティアで学生とインタビューをします。大学が決めたスキルに基づき採点をするわけです。それに対して課題部分をトレーニングする。


こんなことをしていれば、共通言語が企業との間ででき、また企業は卒業するまでに企業として育っていてほしい状態になるともいえます。


このお話を聞き、非常に可能性を感じました。


地方において、地場の大学と企業と連携をし、エンプロイアビリティを定義し、企業とも共通言語として握っておく。そうするとそこへの就職もしやすくなり、学生は企業が必要とするレベルに成長する。


何かヒントを得た気がします。文章化が難しいですが、少し私の中で整理をしてまたどこかでお伝えしたいと思います。