さて。
本編突入です。
内容についての私なりの想いは、13日にもう一度
観た後でいろいろまとめてゆっくり書こうと思います。
良大くんの問いに対する答えも。
なので、今日は観劇後の率直な感想を。。。
一言でいうなら。。。
現実と幻想の間を行ったり来たりしている感覚。
話の内容自体は昨日も言ったように、
非常に人間臭い話だし、誰でも一度は経験のある
感情だったり出来事だったりなんだけど。
とにかくセットが幻想的でした。
上からいくつも吊り下げられてたあの紙を丸めたようなものは、
先生の遺書の書き損じなのかなぁ…
で、岩のようなかたまりはその書き損じが山になったもの?
よく憶えてないのだけど、そこに腰掛けたのは先生とお兄さんだけ?
「わたし」とKは、そばに座るのみ?
書き損じとは言えど、それは大切な先生の人生。
彼らは、その上には腰かけられないってことかなぁ。
次回は、この辺りもう少し意識してみよーっと。
それでいて、話の内容は本当にリアル。
人を信じること と 人を裏切ること。
人の生 と 人の死。
原作を読んでいた時にも感じた人間臭さ。
この舞台でも非常にリアルに繰り広げられておりました。
役者さんが目の前で演じる姿を観ていたら、
原作の文字を追っている時よりもこころに
ぐさりと刺さることが多かったなぁ・・・。
うまく言葉にできないんだけど。
13日にもう一度観たら、もうすこし形になるのかな?
そうしたら言葉として紡いでみよう。
そして。
役者さんたちが話の本筋には絡まないのに、
そのまま舞台上で「役」のまま居続ける。。。
たとえば・・・
―「わたし」と佐藤兄さんの会話中も反対側で
上田Kくんは正座して聖書を読み続けている、とか
―良大先生とお嬢さんとの会話を懐かしそうな
それでいて少し寂しげに見つめる遠山先生、とか
きっと円形劇場ゆえの演出ってのもあるんだろうけど、
そんな風に魅せる演技が夢と現実の狭間にいるかのようで、
いつの間にか「こころ」の空気にすっぽり包まれてしまいました。
さてさて。
今回、良大くんは「わたし」と「(若き日の)先生」の二役を演じていました。
はじめ、二役って聞いたときは「衣装や髪型を変えるのかな?」
な~んて漠然と思っていましたが。。。
いやはやそんな単純なものではなかったです。
『こみゅ』の稽古場風景でもチラリと拝見していましたが、
一瞬の間に「わたし」と「先生」が切り替わるんですよ。
だから表情だとか声だとか…自分を纏う空気で演じ分ける。
しかもちゃんと
「今は『わたし』だな」
「あ。『先生』に変わった」
って分かるんです。
彼自身が纏っている空気をきっちり切り替えていました。
でもさすがにこれ、しんどかっただろうなぁ。
出番も二倍。
=ほぼ出ずっぱり。
台詞も二倍。
=しかも重いものばかり。
今までのキャパを遥かに越えるものだったろうに…
でも。
今のこの年齢でその壁にぶつかるのは良いことかも。
彼自身「神様は乗り越えられる壁しか目の前に用意しないのだから」
ってブログで言っていたけど、本当にそう思う。
乗り越えられるだけのチカラを持ち合わせているって信じているからこそ、
当人の目の前に「ドォーン」って高い壁を作って試してるんだ。
これは「こみゅ」の稽古場風景を見ていても思ったこと。
人間って「出来ない相手」には多くを求めないもの。
「この程度」って限界を決めてそれ以上は求めない。
可能性を秘めているから、乗り越えられるって信じているから
無理難題を与えて、悩み苦しませて、壁を削りとらせようとする。
・・・ってこれ、私自身にも言えることだなぁ。。。
あれ?かなり脱線しちゃいましたね(汗)
それにしても。
ビックリしたのが、遠山先生と佐藤兄さんの
眼鏡を争って繰り広げられる寸劇(笑)
原作にもある海で先生が眼鏡を探す場面なんだけど、
眼鏡をかけた「お客さん」を巻き込んじゃうんです(笑)
しかも遠山先生も乗っかる乗っかる。
「(度が強すぎて)クラクラする」と言ってみたり、
眼鏡の匂いをかいでみたり(爆)
で、結局佐藤兄さんが着けてる眼鏡を良大くん扮する
「わたし」がサクッと取って先生に渡して一件落着。。
でもこれで終わらないのが佐藤兄さん(笑)
「わたし」が一生懸命に話してるのに、
「眼鏡のことで頭がいっぱいで途中から聞いてなかった」って…(苦笑)
もぉー。
佐藤兄さんフリーダムすぎ。
で、兄さん自ら先生の元へ眼鏡を返してもらいに行くのだけど、
その方法が…。
それは「眼鏡」ではなく『眼鏡蟹』なんだ、って。
しかもとても獰猛で、兄さんにしかなつかないとかなんとか。
もう劇場内、大爆笑のうず(笑)
ぜったい狙ってるでしょ、佐藤兄さん。
そんな中でも表情をピクリとも変えない「わたし」。
しっかりと空気を変えて「こころ」の世界に皆を戻す。
いやー。すごいです。
あ。
もしかしたら実は「あーまた馬鹿なこと言って…」
って冷めた目で見てるのか?
だったら、あの表情も納得(笑)
そして噂の殺陣シーン。
へぇー。相撲かぁ。
華麗に背負い投げされた良大先生がちょっと心配になっちゃった(汗)
ふたりとも受け身とか力加減とか練習したんだろうなぁ…と思いつつも、
我を忘れて上田Kくんに向かっていく良大先生の姿に、
鬼気迫るものを感じて観ていてゾクッとした。
こころの底から沸き上がる何かに突き動かされて向かってるような。
その瞬間、良大くんじゃなく、本当の「先生」にみえた。
首を絞めている時も「本当にこのまま絞め殺してしまうんじゃないか?」
って不安になったくらい。
その後、息を整えながら着物を正す姿も「役者」としての良大くんではなく
「先生」として『気持ち』を正しているようにみえたなぁ。
そこに先生が抱える後悔の念や苦しい想いをみてしまった気がする。
それにしても。
今日の良大くん、何か悩んでいるようにみえたな。
そんなに彼の舞台を観ているわけではないけど、カミカミだった気が…。
ま、それがかえって「わたし」や「先生」が悩み苦しんで、
うまく言葉を紡げない姿にもみえた。
なんだかすごく生き急いでるかのようで。。。
思わず「大丈夫だよ」って言いたくなった。
それが良大くんになのか、「役」になのかはわかんないけど…。
自分を追い込んで落ち込んでないといいけど…
そんなこんなで。
まったくと言って良いほどまとまってないけど…
実際、頭の中でもまとまってないんですよ。
とりあえず。
今夜は「こころ」の余韻に浸りつつ、床につきたく思います。