19:00
だいぶ薄暗くなってきた
「しっぽ」を出て古座川町の宿へと向かう
この時間になると、車の量もかなり減ってきている
県道240号線から熊野街道へ
薄暮の海岸線の道も風情があるが、視認性が低くなる…充分に注意せねば…
地図検索によると約30分くらいで宿に着くとある
すっかり日も暮れ、頼りはヘッドライトと途中ポツンポツンと点在する街灯だけとなった
ここで、伊勢でもやってしまった表示の見落としをまたも繰り返してしまった…
右折せねばならないところを直進、串本町潮岬の手前まで行ってしまい、慌てて引き返す
10分ほど戻り、古座駅の表示を確認、左折する
実に静かな町並みだ
オークワという地元のスーパーがあるが、19時台だというのに閉まっている
「落ち着いたらお風呂どうぞ」
部屋はすでに布団が敷いてある
荷物を部屋の片隅に寄せ、iPhoneを充電する
バッテリーの残量は5%を切っていた
10分ほどしてお茶と二切れのカステラ、二つの揚げ春巻きが運ばれてきた
「残りものだけど食べて」
揚げ春巻きの中に新筍が入っていて食感が良い
晩ごはんはここで食べたかったな
カステラも久しぶりに食べた
湿った着替えを持って一階のお風呂へ
じっくり浸かり、関節を曲げ伸ばしして
滞った血行を促し、疲労物質を留まらせないようにする
だいぶ血管が拡がったようだ、じんわりと汗が出てきた
二階の宿泊者がくつろげるスペースで涼んでいると、女将さんが階段を登って来た
「お風呂入った?」
いただきました、ありがとうございます
「疲れは取れた?」
一晩寝れば大丈夫でしょう
「知人が長野に住んでるの、毎年りんごをたくさん贈ってくれてね…」
へぇ
「長野に行ったこともあるの」
そうなんですか?
と、他愛の無い世間話をするが、しかし意外だ
たまたま訪れた宿の女将さんが長野に縁のある人だなんて…
「ゆっくりしていって…」
そのまま女将さんは見回りに向かった
入れ違うように洗い髪に浴衣、長い髪をタオルで拭きながら、宿泊者の女性が階段を登って来る
はぁ艶っぽい…
思わず見とれてしまった
いーよなぁ…
浴衣に黒くて長い洗い髪…締まりの無い顔を見られ、くすりと笑われてしまった
部屋に戻る
TVを点けてみるが、「チャンネル多いな」程度しか覚えてない
灯りを消して布団に潜り込む
しかし静かな町だ
目の前は県道なのだが、車の通る気配すらない…
ツーリングの疲れにまどろみながら、
明日は潮岬、熊野本宮大社そこから奈良県に抜けるか…
と考えているうちに寝入ってしまった