「お姉ちゃん…話しを聞いてあげて…」
部屋で泣いていた彼女にちぃ姉ちゃんが声をかけた
「嫌われたのに?」
涙声で応える彼女にちぃ姉ちゃんは続ける
「お願い…強く言ってしまった理由があるの…その理由だけでも聞いて…」
「開けるね….」
居間で待つ友人の元にちぃ姉ちゃんが彼女を連れてきた
ふたりは眼を合わすなり、
同時だった
互いの誤解は解消された
そして、
友人はなるべく怒らない
彼女は、どうせわたしなんか…とか、ばかだから…とか言う、自分を卑下する言葉を言わないように努めてゆく
このふたつを最優先して守るという約束を交わした(ほかにも約束事はある…)
ふたりは互いを支え合ってゆくことを決めたのだ
友人とおばあちゃんは、彼女の生涯の仕事として、伝統工芸の分野で、彼女の丁寧で真面目な性格と合う仕事を探している
一朝一夕にはいかない…教えてくれる側にも理解が必要だからだ
そう都合良く見つかりはしないし、長期戦は覚悟の上だ
きっと彼女に合った仕事は見つかる
そう信じている
彼女に罪をなすりつけていたヤツ等は、
最近増えた防犯カメラに収められた画像が証拠となり、過去の悪行も白状し始めた
因果応報だ
彼女の両親にも変化がある
こちらはそうそう変われるものでもないが、時間が解決してくれるだろう
泣くしかなかった彼女とその家族も、いつか笑って昔話しにするときがくる
その予兆なのか、3人の姉弟は笑う機会が増えた
しあわせに向かって歩き始めた
自分は、そんな小さなしあわせへ向かう人たちの目撃者になったのだ