友人がしあわせそうだ

彼の彼女は…
なんと表現したらいいのか…

とにかくモノを知らない

彼曰く、
「誰も教えてくれなかったからさ…親すらね…」

人よりも覚えるのが遅く、理解するまで時間がかかり、その遅さに親すら匙を投げたとか…

なので、
なにも知らないまま成長した…

知らないことが多くて、普通なら騙されようもないことでも、騙された事は数知れないという



出逢いを聞くと顔を曇らせた

「友達だった男が連れていたのさ」

吐き捨てるように言った

「だった?」

「俺はそいつを友達だと思ってた…だが違った!」

友達と思っていた男が言うには、

「面白い女がいる、なんでも信じる女だ」

教えてくれたのはここまでだった

気がつくと、どうしようもない怒りに震えながら彼女の手を引いていたそうだ

“友達だった男”の下卑た笑いに、
あんなクソヤローと友達だった自分に、
そして、クソヤローの言葉を信じて付いて来た彼女にも怒っていたが、彼女にそれをぶつけるワケにもいかない…

困惑しているだろう彼女が、

「なんでケンカしたの?ケンカしたら痛いのに…ケンカはダメなのに…」

その言葉に余計に腹が立った

「誰のために!」

けれど、次のひとことで怒りは一気に冷めた

「お名前は?」

「え?」

「私は○○初めまして」

「俺は…」

屈託の無いその顔に怒りを忘れ、涙が溢れてきた

「痛いの?だからケンカはダメなのに…」

彼女の手を握り泣くしかなかったそうだ




                                            続