12、13日に関市、岐阜市で開かれる「第30回全国豊かな海づくり大会~ぎふ長良川大会~」(豊かな海づくり大会推進委員会、同大会県実行委員会主催)へのご出席などのため、天皇、皇后両陛下が12日午後、東海道新幹線で羽島市のJR岐阜羽島駅に到着された。
岐阜羽島駅には午後0時10分ごろ到着され、駅ホームで古田肇知事や安田謙三県議会議長、瀧澤裕昭県警本部長らが出迎えた。JR岐阜羽島駅前では、多くの市民らが日の丸の小旗を振って4年ぶりのご来県を歓迎。両陛下は和やかな笑みを浮かべ、手を振って応えられた。車に乗り換えて県庁入りし、古田知事から県勢概要の説明も受けた。
その後は、岐阜市の市立岐阜特別支援学校で授業風景を視察されたり、岐阜グランドホテルで海づくり大会の絵画や習字の作品展をご覧になった後、歓迎レセプションにも出席される予定。
13日午前は関市文化会館で大会式典行事に、午後は同市の長良川河畔で放流・歓迎行事に臨まれる。
両陛下としての来県は、2006(平成18)年5月、下呂市で第57回全国植樹祭を視察されて以来、5度目。
「第30回全国豊かな海づくり大会~ぎふ長良川大会~」は13日、天皇、皇后両陛下がご臨席され、関市内で式典、放流・歓迎行事が盛大に催された。両陛下は大会後、同市役所や美濃市内をご視察した。
大会のメーンとなる両行事では県出身のタレント熊田曜子さんが進行役を務め、放流・歓迎行事では、県内を水源とする8流域を巡った回遊旗の舟が長良川を下るなど、趣向を凝らした演出が注目を集めた。県内各地ではヤマメの放流などサテライト行事が繰り広げられ、県民らが森や川、水にちなんだ多彩なイベントを通じて環境保全意識を高めた。
◆市民ら250人、清流へ鮎放つ
天皇、皇后両陛下の御放流に合わせて、特別招待された市民ら約250人が特設の放流台から鮎を放った。
放流会場には天皇、皇后両陛下が御放流される特設やぐらの横に、特別招待者用の大型放流台を設置。特別招待者らは約10センチの鮎2匹ずつが入ったバケツから放流台に流し込み、清流・長良川に飛び出していく鮎に熱い視線を送った。
◆美濃和紙アートの“源流”へ
美濃市では、天皇、皇后両陛下が美濃和紙あかりアート館(同市本住町)で1300年の歴史を持つ美濃和紙の説明を受けられたり、あかりアート作品をご視察した。
同館では本美濃紙保存会の澤村正会長(80)が案内。会員の鈴木豊美さん(57)が両陛下の前で紙すきを披露した。
天皇陛下は紙すきの道具について質問され、皇后さまも「修業は大変ですか」「あかりアート作品、きれいでしたよ」と声を掛けられ、関係者をねぎらった。
◆両陛下、長良川へ放流
「清流が つなぐ未来の 海づくり」をテーマに、漁業振興に加えて森、川、海の流域連携の重要性を発信する「第30回全国豊かな海づくり大会~ぎふ長良川大会~」(豊かな海づくり大会推進委員会、同大会県実行委員会主催、農林水産省、環境省後援)は13日、天皇、皇后両陛下をお迎えし、関市内で式典行事と放流・歓迎行事が催された。県内では12、13日に全市町村で関連行事も行われ、大会と合わせて史上最大規模の約16万2千人が参加し、県内は海づくり一色となった。
初の河川での開催となった大会は「清流の国ぎふ」を前面に「水を守る」「地球を守る」をアピールした。
関市桜本町の市文化会館で行われた記念式典には約1100人が参加。大会会長の横路孝弘衆院議長、古田肇知事が「水産業の振興に加え、新たに環境の視点を重視し、大会に新たな歴史を刻みたい」などとあいさつ。
尾藤義昭関市長が「河川初の大会を今後のまちづくりにつなげたい」と歓迎の言葉を述べた。「豊かな森、川、海を守り育て、次の世代に引き継ぐ」との大会決議を採択、大会旗を来年の開催地・鳥取県の平井伸治知事に引き継いだ。
「子どもたちが主役」の理念通り、小中学生らが清流をイメージした青い布を効果的に使うなどして、水の循環などを舞踊、合唱で見事に表現した。
関市池尻の長良川河川敷で催された放流・歓迎行事では、小瀬鵜飼の舟や回遊旗を掲げた舟が往来した後、天皇陛下がヤマメ、皇后さまがウシモツゴを小学生代表らにお手渡しされた。続いて天皇陛下が鮎とカジカ、皇后さまがアジメドジョウとアマゴの稚魚を2回に分けて放流した。
この日、両陛下は関市役所や美濃市内を訪問、篠田桃紅美術空間やうだつの上がる町並みなどを視察された。
14日は午前に各務原市川島笠田町の世界淡水魚園水族館、午後からは土岐市肥田町の市立陶磁器試験場、セラテクノ土岐を視察、地場産業の陶磁器の技術などに触れられた後、愛知県に移動する。
岐阜新聞:引用