『忘れる○○』というタイトルについ惹かれてしまう今日このごろです。
著者が中学生のころ、「ニーチェを読んでいない奴とはしゃべれない」と言ったお父さまは、作家の落合信彦さん。
アサヒスーパードライのCMを思い出す方もいらっしゃるかもしれません。
国際ジャーナリストという肩書に「なにそれ?」と思いましたが、なんだかんだ結構読んでました。
で、その息子さん(36歳)の読書論です。
今の時代に読書をする意味として
1 思考力をつける
2 気づく力をつける
3 歴史の判断を学び今との差を認識する
と明快です。
筆者の今の活動(メディアアーティスト、筑波大学准教授、ベンチャー企業の代表など)の根幹を形作ってきたものは読書だと言い切りますが、その読み方は積読・乱読・ザッピングと、結構適当。
しかし、それだけではもちろん終わりません。
何回もパラパラめくって「周回読み」をし、漫画から哲学書、理工書を読み、自分の頭の中にそれぞれの本の「脳内マップ」を作り、「読み比べ」することで本の内容を血肉化していくというのです。
と書いても、ちょっとわかんねえ~ですよね。
具体的には、筆者が読んできた27冊を紹介しながら説明してくれます。
紹介される本は、『失敗の本質』『禅と日本文化』『風姿花伝』など。
問題解決のセンスを磨くのに最適な一冊として『いかにして問題をとくか』
読書ノートやメモは取らない。
「本は気楽に読んで一度は忘れる」と言いますが、「忘れる」どころではなく、それがしっかりと血肉になっていて、自分の考えのもとになっているということがわかります。
読書メーターの感想に「センスのないタイトルが残念」と書きましたら、「いいね」をくれた読友さんの感想に「忘れる読書とは、(中略)受け売りではないということだ」とあり、なるほどと思いました。
ちなみに、ニーチェが理解できたのは、ギリシャ神話に親しんでいたからとのこと。
父がしゃべってくれないというので(本当か笑)、仕方なく読みはじめたニーチェでしたが、それを読み解くツールであるギリシャ神話を小さなころから読んでいたことは、その後の読書人生に大きな影響を与えたはずだということです。
2022年11月9日
PHP研究所
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