昭和38年4月20日初版発行
KADOKAWA
 
『雪国』
読んだとばかり思っていました。
そう思っていただけということが、読んでみてわかりました。

 

子どもの頃、映画を観たことがあったんですね。

観たことは観たけど、よくわかっていなかった。

 

 

駒子役の岸恵子が、酒に酔って島村(池部良)に絡んでばかりいたという記憶はあるのですが……

 

 

大人になって改めて読んでみたら、すごくいいです!

 

東京で暮らす30代半ばの妻子持ちの男と、師匠の息子の治療費のため芸者に出た若い温泉芸者。

 

身を売って治療費を出した師匠の息子は結局死んでしまうし、島村はどうせ東京に帰ってしまう。

 

「徒労」とも思える駒子の人生。

 

まあ、生きることはしょせん「徒労」かなとも思うわけですが、だからこそ、日々楽しんで生きる。

 

これしかないのかな。

 

 

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池部良が、日経新聞の「私の履歴書」に登場したことがあります。

その中で、『雪国』映画化のとき、鎌倉の川端宅へご挨拶にうかがったときのことが書かれていた記憶があります。

 

「西洋の魔女のようなお顔」の川端先生のお手先を見たら、「岸君の両手を挟み、柔らかく静かに擦っておられた」というくだりがありまして、(岸恵子は、「そんなこと嘘よ」と言っているそうです)

 

そのときはヤスナリ、きも~い!と思った私ですが、

 

最近、介護施設で働いていたという男性から、入居者のおばあさんに手を挟まれて、さすさすされたという話を聞きました。

 

おばあさんは、若い人にふれると、若返るような気がしたんでしょうか。

単に肌触りがよかったとか。

 

川端さんもそんな気持ちだったのかなあ。

 

 

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さて、『伊豆の踊子』も読んでみたんですが、清らかで瑞々しい印象。

『掌の小説』という短編集が、これまたよかったです。

 

 

さすが世界のヤスナリです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

おつき合いありがとうございます。