「滝沢カレンは谷崎潤一郎だった」
「光源氏は、元祖チャラ男」
作家の高橋源一郎さんが、ちまたで話題の「これ」って、昔あった「アレ」だよね、と語るコラムです。
「サンデー毎日」に2020年9月から2021年8月に連載されたものから選び、加筆されています。
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『鬼滅の刃』といえば兄と妹の話。
ここで高橋さんがもってくるのは、宮沢賢治の「永訣の朝」
あめゆじゆとてきてけんじや
「死んだ妹」、「誰かの幸せのために犠牲になること」、賢治の作品の底に流れるテーマと同じ匂いを『鬼滅の刃』に感じるというのですが、どうでしょう。
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たまたま仕事で訪れた住宅街で、古くからやってる喫茶店に入ってみる。
カウンターに座ると、同じくカウンターの3つ向こうの席に常連さんと思しきおじさんがいて、マスター相手に何やら話をしている。
聞くともなしに聞こえてくる会話で、おじさんは「最近、流行ってるこれって、アレじゃない?」とか言ってる。
おじさんの「これは、アレだな」は、なるほどと思うこともあるけど、「ん?」と思うこともある。
面と向かって話されたらめんどくさいけど、聞き耳を立ててる分にはおもしろい。
そんな感じです。
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本で紹介されていたYouTube動画『おばあちゃんのおせち』を見てみました。
おばあちゃんがおせちをつくりながら、淡々と人生を語るものです。
動画の紹介にはこんな言葉が
ほっこり愛らしい見た目とは裏腹に、壮絶な人生を生き抜いて来た「ロック」なおばあちゃんたち。彼女たちが常に誰かのためにつくってきた、大切な人やその土地との関係性が詰まったレシピを丁寧に聞くことで、彼女たちの人生の奥行きに少し触れさせてもらっています。強くて美しくて柔軟な彼女たちの姿勢が、国や世代を越えて世界中の若い人たちの目にとまって欲しい。きっと、日々のご飯を頂く瞬間ですら、今までよりちょっと大切にできるきっかけになると思うから。
高橋さんはこの動画を見て、「江上トミ」という料理研究家を思い出すのですが、ご存じでしょうか。
この方のお弟子さんで、世界を回って武者修行した桧山タミさんは、いのち愛しむ、人生キッチン 92歳の現役料理家タミ先生のみつけた幸福術の中で、晩年、いちばん大切なのは「早寝早起き」といい、昔ながらの和食に戻っているそうです。
本もたくさん紹介してくれますが、お料理本、多めです。