楠木建さんのおもしろくてためになる処世術です。

 

「自分の思い通りにうまくいくことなんて、この世にはひとつもない」という前提で仕事をする。

 

厳しいようで緩い。緩いようで厳しい。でも根本においては割と緩い哲学なんだそうです。

 

GRIT(困難に直面してもやり抜く力)、レジリエンス(逆境から回復する力)などが注目される昨今、「うまくやろう」「挫折からの回復力を手に入れなければ」などという、窮屈な考えを捨て、成功の呪縛から自由になり、目の前の仕事に取り組み、淡々とやり遂げる。

 

 

あるとき、早稲田大学ビジネススクール教授の淺羽茂さんから、「楠木さんは書くより話す方がずっと面白いね」と言われ、「硬いことこそ論文の心意気だ」との思い込みから解放され、「論文や本の文章はお客さまにとってわかりやすく、面白いものでなければ意味がない」と、考えを変えたという楠木さん。

 

本書も、まじめな話ながら、おもしろいです。

 

「戦争や病気のような余程なことがない限り、逆境も挫折もない」という、楠木さんのかかりつけ医者は、小林弘幸さん。

 

・一定の年齢を過ぎると、副交感神経の活動が急激に下がってきてバランスが崩れる。

・副交感神経を活性化させるには、意識的に呼吸を深くする。

・ゆっくりとリズミカルに歩く。

 

 

私も小林弘幸さんの本を読んで以来、なるべくゆっくり動くようにしています。

 

 

今までやることなすこと速く、他の人が止まって見えるほどだったのですが、ゆっくり動くようになったら、いろんなところで遅刻するようになって困りました。

 

最近、やっと慣れてペースがつかめるようになりました。

 

 

基本的にケチだという楠木さんの、お金と時間に関するお話も参考になります。

私の経験では、ケンという名前の人はケチな人が多いように思うのですが、いかがでしょうか。

 

自分は初老段階にあるという、1964年生まれの楠木さんですが、70歳以上の男性だけを顧客ターゲットとしている「週刊現代」についての論評がまたおもしろい。

 

完全に高齢者シフト「Gシフト」を敷いているという紙面の内容は、「死はある日突然にやってくる」「なぜ男たちは崎陽軒のシウマイが死ぬほど好きなのか」「夏目雅子 思い出の地を旅する」など。

 

 

実は、私も昨年の夏ごろ、「週刊現代」を読んでたのですが、本当にそのとおりで、定年退職した男性層はこれで喜ぶのかという記事構成、妙に色っぽいグラビア、「ここまで徹底するとむしろ潔い」という楠木さんの主張には同感です。

 

 

無類の読書家である楠木さんによる、本の紹介もあります。

 

 

笑えます。

 

 

2022年6月20日
講談社

 

 

お読みいただきありがとうございます。