やたら本を買いまくるブロ友さんのご紹介で読んでみました。
表紙は光さす森の木々
50代後半の頃だったんでしょうか。
友を次々に亡くした筆者は60代から70代にかけて森にこもります。
標高1000メートル
冬は気温マイナス16度
冬も森の家に住むと言ったとき、土地の人は反対したという
それでもあきらめず古屋にこもった筆者を森はいやします。
不整脈を数える筆者に呼応するように震える家
夕暮れに屋根の上で暴れるサルの群れ
森によって筆者がいやされた日々は読む者もいやします。
著者の内藤さんは1937年生まれの翻訳家、詩人
訳書にジョージア・オキーフとふたつの家 ゴーストランチとアビキュー
わたしは名前がない。あなたはだれ? エミリー・ディキンスン詩集
などがあります。
谷川俊太郎さんとの共著で、『一夜だけの詩遊び』というのもありました。
これは以前から気になっていたので、この際、読んでみました。
詩人の谷川さんと、詩を書きはじめて1年ほどの内藤さん
生まれてはじめて顔を合わせるお二人が、11のお題で披露した詩が載せられています。
ひな祭りの時期、桃の枝が飾られた小さな会場で行われた詩の朗読会
あいまに語られた即興のお話は残念ながら載ってないのですが、「詩遊び」の雰囲気は伝わってきます。
死んだ男の残したものは
ひとりの妻とひとりの子ども
他には何も残さなかった
墓石ひとつ残さなかった
死んだ兵士の残したものは
こわれた銃とゆがんだ地球
他には何も残せなかった
平和ひとつ残せなかった
死んだ彼らの残したものは
生きてるわたし生きてるあなた
他には誰も残っていない
他には誰も残っていない
(1968年初出『谷川俊太郎詩集』(日本の詩人17)河出書房より「死んだ男の残したものは」より抜粋)
後半、会場の若い女性から谷川さんにリクエストが入り、谷川さんは逡巡しながらも応えます。
読み始めたお声は、若者の生気を発し、やがて会場は爆笑の渦になったとさ。
みなさまのブログやコメントから、次に読む本のヒントをいただくことがよくあります。
いつもありがとうございます。