本や映画などの「鑑賞」系を中心にしたエッセイ集『土曜日は灰色の馬』をまとめてから十年。その十年のあいだに書いたものをこうして続編として本にしていただけることになった。(あとがきより)
初出は新潮社の「波」やお芝居のパンフレット、「図書新聞」など。
読書日記は「新潮45」に載せられた書評で、これがおもしろい。
短いものだと二、三行、長くても十数行なのに、読みたい本が続出。
「ハンパじゃないくらい怖い」本として『モンタギューおじさんの怖い話』『船乗りサッカレーの怖い話』『トンネルに消えた女の怖い話』(クリス・プリーストリー)
イギリス児童文学なんですが、「読んでいて嫌な予感にざわざわした」と紹介してます。
ビジネス書の紹介もあって、「二十分でサッと読めるのと一瞬賢くなったような錯覚に陥ることができるので、心が弱っているとつい魔がさして買ってしまう」には爆笑。
それらの中で、本当に読んでよかったと思えるものはめったにないが、数少ない例外としてマイケル・フランゼーゼ『最強マフィアの仕事術』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)
かなりの読書家で、引っ越しのときに作りつけの本棚を特注したにもかかわらず、本があふれてる状況とか、家にある本をまた買ってしまう、本好きあるあるもおもしろい。
最近お洒落なリアル書店やブックカフェがもてはやされているが、これまた本がただのインテリアにしかなっていないので、せっかく素敵な『世界でもっとも美しい書店』(清水玲奈/エクスナレッジ)を眺めていても、モヤモヤした割り切れないここちになる。そこへいくと、本は買って読んで保存しておくものだという明快な哲学のある『立花隆の書棚』(中央公論新社)を読むとホッとする。書棚の説明をしているだけなのに一気に面白く読めてしまうのはさすが。
同感です。
『聖書』はホラー&ミステリネタとして最強なんだそうです。
読みたい本を増やしたくない人にはお勧めできません。
2020年11月30日
筑摩書房
定価1700円+税