新聞記者だったっていうし、落合博満みたいな名前だし、おっさんぼい本屋さんを想像してました。
ことし64歳だから、立派なおじさんなんですけど、金髪で派手なシャツ、まず外見が若いです。(自分でも言ってる)
そして、この本屋さんがおしゃれです。
台東区寿にある倉庫を改装したお店は、天井が高くて開放感がありそうです。
ベストセラーは置かない。
本は買い取り、売り切り。
ふらっと寄ってほしくないから、あえて大通りには面さず、ドアも閉めて、敷居を高くしているそうです。
わざわざ来る方にできれば本を買ってほしい。
朝日新聞、ランナーズ、毎日新聞論説委員を経て、定年を待たず58歳で退職。
子どもが3歳のときに本屋を開業します。
はじめて売れた本は『パリのすてきなおじさん』(金井真紀)
開店1年前に東京都中小企業振興公社が運営するTOKYO起業塾の講座を受講。
講師から具体的なひとり(ペルソナ)を思い浮かべるようにといわれてたどりついたのは、小泉今日子さんだったといいます。
同じく58歳で会社を辞めたMさんという人が紹介されています。
Mさんは、健康上の理由で会社を辞め、合格率1割という難関を突破して通訳案内士になります。
ところが、コロナ禍で外国人観光客が来日できなくなり、仕事がなくなります。
Mさんはその休みを利用して3週間で小説を書きあげ、2020年10月、大賞候補に残り、作品が出版されたというのです。
Mは言う。「人生いつ何が起きるか分からない。だから面白い」
教訓めいたものを引き出すのであれば、始めるのに遅すぎるということはないこと、心に引っかかったことがあったらそのままにしないで一歩踏み出してみるということ。
読書が好きな人に職業としての本屋はお勧めしないといいます。
本なんて読んでる時間はないそうです。
「本屋をしていて一番楽しいことは何か」と聞かれたら、カウンターをはさんでお客さんと言葉を交わすことだと答える。たとえ本が売れなくても。お客さんとの会話は僕にとって精神安定剤みたいなものだ。もちろん、本は買ってほしいけれど。
2021年9月30日第1刷
光文社
定価(本体940円+税)