「『100万回死んだねこ』ありますか」
「小説で『おい霧島、お前部活やめるのか?』みたいなタイトルだったと思うんだけど……」
「カフカの『ヘンタイ』を借りたいんですが……」
福井県立図書館では、もともとカウンターで出会った「覚え違い」事例について、「どんな相談があり、どう対応したか」を記録に取っていたそうです。
まじめな目的で記録していたものですが、職員間では、共感し、なごめるものになっていました。あらためて読むと、このおもしろさは司書でなくても共通のはず。
そこで、2007年からウェブで公開したところ、じょじょに注目されるようになったそうです。
この本ではこれまでに蒐集した「覚え違い」を厳選して紹介しています。
おしい
夏目漱石の『僕ちゃん』
『下町ロボット』
それはタイヘン!
『摂氏451度』熱すぎでしょ!
なんかコワいっす……
『ストラディバリウスはこう言った』
気持はわかるけど
『普通のまま発狂したい』→『平熱のまま、この世界に熱狂したい』微妙ですね。
『人は見た目が7割』→見た目9割なんですよ。残念。
ん?
『家康家を建てる』城でも小さいですね。
『ねじ曲がったクロマニヨン』みたいな名前の村上春樹の本
なんかまざってます!
村上春樹『とんでもなくクリスタル』何が借りたいんだろう。まったくわかりません。
よくわかりましたね!
①「独身男性が若い女の子を妻にしようとして色々失敗した話……」
これわかるでしょうか。
最後に答を書きますね。
②『海の男』
③『これこれちこうよれ』
難解ですね。
「ぼくなんだかブルーな気分なの、みたいなタイトルの本」
これは何となくわかりますね。
タイトルが長いとたしかに覚えづらいです。
『先生が好きな等式』→『博士の愛した数式』
「数式のなかでも等式限定でお好きとはこだわりが強い先生ですね」などという司書さんのツッコミもあり、おもしろいです。
利用したことのある方はご存じだと思いますが、図書館の検索はグーグルと違って、一文字違っただけでもヒットしません。「僕」を「ぼく」と打っただけでもだめです。
あの本なんだっけというとき、司書さんの果たす役割はとても大きいですね。
人間の営みのすべては学問領域である。そして、それらのすべてが本になる。
眠る、料理をする、食べる、歯を磨く、働く、学ぶ、洗濯をする、歩く……その言葉のとおり、何だって本になっています。
「自分は本を読まないから、図書館は関係ない場所」そんなふうにおっしゃる方でも、聞いてみるとお料理が好きでレシピ本を読んでいたりすることがあります。自分では本じゃないと思っているものも本なんです。そしてそれが詰まっているのが図書館です。
「覚え違いタイトル集」の更新はこれからも続くそうです。
【答】
①谷崎潤一郎『痴人の愛』
②『老人と海』
③『日日是好日』だったようです。
わかりましたでしょうか。
調子に乗ってクイズ出しましょうか。
①『ひやけのひと』
②ハリー・ポッターが書いたうさぎの本
③ラムネかサイダーみたいな名前の新人作家
ちなみに『100万回死んだねこ』ありますかというと、『100万回生きたねこ』のコーナーに案内される珍事も発生しているそうです。