マハ岩ちゃんさんのブログで紹介されていた本をちょうど読んでいました。
2009年4月から2017年6月までの8年間、朝日新聞に掲載された133冊の本の書評集です。
最初、書評委員を依頼されたときは即座に断ったものの、編集者の熱意に根負けして引き受けてしまったという横尾さん。それまで、本嫌いの彼に誰一人として書評を依頼したものはなかったそうです。
本を読むのが大のニガ手といいますが、紹介されている本は興味深く、書評も独特です。
『「死ぬのが怖い」とはどういうことか』石内都
『レディー・ガガ メッセージ』ブランドン・ハースト
『原節子 あるがままに生きて』貫田庄
『老耄と哲学』梅原猛
『五・七・五交友録』和田誠など
芸術、映画、天才・狂気
なんでもござれなのです。
『本へのとびら』岩波少年文庫を語る(宮崎駿著)の紹介
見開き頁には、400を超える岩波少年文庫の中から50冊を選ぶために候補本を床に並べて感慨深げに沈思黙考しておられる仕事着の宮崎さんの嬉しそうな優しい顔に、児童文学への愛が語られているのが読み取れます。
巻頭カラー頁で宮崎さんが選ばれた50冊の岩波少年文庫の表紙や挿絵が紹介され、その一冊ずつに短文が添えられ、そのどれもが読んでみたくなるような気持ちをそそられるのです。
目に浮かぶような描写です。
『寅さんとイエス』(米田彰男著)では、寅さんとイエスが類似しているという神父さんの説に、それならば、2人のキャラを交換したらどうかと提案。
寅さんは見た目をイエスに、話術はイエスの口調で、イエスは下町言葉で民衆相手に説教したらどうだろうと言います。
読書は人間成長のために有効だという人がいるが、僕に関しては絵を描く時間を盗まれたという怨み事しか出てこない。
だからといって嫌々書いた本は一冊もない。どの本も誰かに読んでもらいたいと思う本ばかりだ。読書後の記憶はほとんど忘却しているが、これらの本を選択した意志は何らかの形で僕の創作と人生とは無縁でないように思う。
私が読んだことのある本は『魂にふれる~大震災と、生きている死者』(若松英輔)だけでした。若松さんの本は装丁が美しいのです。
2017年7月20日第1刷発行
光文社
定価(本体840円+税)