『日曜喫茶室』というラジオ番組がありました。

 

マスターのはかま満緒さんとウエイトレス役の女性、常連の安野光雅さんや池内紀さんとゲストがトークを繰り広げるという内容です。

 

1977年に始まり、2017年にはかまさんの急逝で終了しました。

 

はかまさんが聞き上手で、ゲストが「ここだけの話だけどサ」というようなことをうっかりしゃべることも、魅力だったと思います。

 

打あわせはまったくなく、はじめましての方は、本当に初対面だったそうです。

 

1993年から1997年の放送から、選りすぐりのトークが掲載されています。

 

ゲストは斉藤茂太さんと青木玉さん。

大西順子さんと有吉玉青さん。

大石静さん、小松左京さんなど。

 

 

別役実さんは、エッセイは嘘をつこう、という精神で書いていると言います。

『虫づくし』が最初ですが、「日本の水泳が弱くなったのは、体内に回虫が少なくなったからだ」とか、虫についてのでたらめを書いたら、反応も随分ありました。「エッセイで噓を書くとはなにごとだ」ということで。

 

バランスがとれてないと、嘘はつけないんですよ。ちょっと体調が悪いときは、悪ふざけになって、どんどんでたらめを濃くしちゃう。それを正当化しようと固くなりすぎると、説得的になる。どちらも嘘が簡単にバレてしまいます。

 

・「胸毛のある人とない人は別の種類に属することが人類学の学説できまりはじめた」と書いて、どこかの週刊誌から取材を受けた。

 

・「ご婦人がお便所で用を足すときに音を消すために『厠団子』を使った」と書いたら、便器メーカーの資料に載ってしまった。

 

 

遊び心がいいですね。

 

 

安野さんは、翻訳ではないのに、翻訳だということにして本を出したことがあるそうです。

そうしたら、さる書評に、「非常に日本語がうまくできている。翻訳の域を超えている」と出て、うれしかったそうです。

 

 

中村メイコさんの回は1993年。

しゃべるしゃべるしゃべる。

活字になっても様子が目に浮かびます。

 

 

都はるみさんと矢崎滋さんも、別の回ですが登場していました。

 

 

2000年1月24日 第一刷発行

講談社

定価:本体1600円(税別)