〈公式ルール〉
・発表参加者が読んで面白いと思った本を持って集まる
・順番に一人5分間で本を紹介する
・それぞれの発表の後に参加者全員でその発表に関するディスカッションを2~3分行う
・全ての発表が終了した後に「どの本が一番読みたくなったか?」を基準とした投票を参加者全員一票で行い、最多票を集めたものを『チャンプ本』とする
筆者の益井さんはサークル活動に明け暮れ留年を繰り返した3年目、このビブリオバトルに出会います。
留年の気まずさから、知り合いに会うことを避け、図書館にこもって現実逃避する日々。
読んだ本は500冊を超えていました。
本だけは読んでいた益井さんは、「これは自分のためのゲームだ!」と直感。
初参加で紹介した本が「チャンプ本」に輝き、ビブリオバトルにはまっていきます。
ちなみにこのとき紹介した本は『鳥類学者 無謀にも恐竜を語る』(川上和人/新潮社)
紹介トークを引用します。
皆さん、こんにちは。今日のテーマは夏ですよね。皆さんの中に、夏祭りで焼き鳥を食べたことがある人はいますか?
あっ、何人かいらっしゃいますね。
皆さんが食べたその焼き鳥、実は正体があるんです。
それは、「焼き恐竜」だったんです。
どういう意味なのか?それはこの本を読めばわかります。
今日、紹介したい本は……
その後、青年海外協力隊でソロモン諸島に派遣された益井さん。
ミッションは「小・中学生の読書習慣の向上」というものでした。
ソロモン諸島は国全体に本屋さんがない。
教科書も子ども一人に一冊ないのだそうです。
図書館にある本は、外国から寄贈された英語の本ばかり。
現地語ではないので流ちょうに読めない子どもがほとんどです。
それでもアンケートを取ると「本が好き」という子が日本の子どもより多いのです。
悪条件の中、ビブリオバトルは少しずつ浸透し、子どもたちは楽しそうに本を紹介するようになります。
ビブリオバトルを実施した回数は102回。
発表者はのべ467名、参加者はのべ3000名。
新聞に掲載されること14回、継続してビブリオバトルを行ってくれている学校は4校。
これが益井さんの2年間の成果を数字にしたものです。
ソロモン諸島の学校でなにかを変えることができただろうか。
その答えは子どもたちが大人になるころにわかるかもしれないと、益井さんは言います。
この世の中には、種を生む人もいれば、花になり果実を結ぶまで育てる人もいるし、種を運び、また花を咲かせる人もいる。そうやってぼくらはつながり、文化は花開いていく。
この本は、自分にできることを、自分のやり方で、思い切ってやっていこうと、読者がそんなふうに前向きになれるメッセージがこめられた本なのだとぼくは思う。
きっと、大切なのはそういうことなのだ。
立命館大学教授/ビブリオバトル考案者
谷口忠大
2020年5月12日 第1刷発行
子どもの未来社
定価:本体1400円(税別)