拝啓、見城様

 

この本はしばらく私の手元にありました。

なかなか読むことができなかったのは、表紙のお写真の圧のせいかもしれません。

 

 
角川の編集時代、若き林真理子に「僕に惚れないこと」とおっしゃったというエピソードにはぶったまげました。
林真理子は自他ともに認める面食い。
案の定、女史の答えは「私は面食いだから、それはありません」
 
しかし、そんなセリフを吐く見城さんは相当モテたんでしょう。
文庫版の表紙もなかなかの肉体美です。
 
 

 

みずからの容姿に対する圧倒的な劣等感。

飲んだくれの父親と聡明で愛情深い母親。

 

戦争で死ねなかったお父さんたちのように、あなたたちの世代もまた、学生運動から逃げ出したという負い目を背負っていることも知りました。

 

あなたの場合、母親を悲しませたくなかった。

その現実から逃れるように仕事にのめり込んでいく姿勢が腑に落ちました。

 

読書することは、実生活では経験できない「別の世界」を経験し、他者への想像力を磨くことを意味する。

 

読書によって得られる正確な言葉がなければ、深い思考はできない。

深い思考がなければ人生は動かない。

 

何度も繰り返されるこのメッセージこそ、あなたが伝えたかったことなのだと受けとめました。

今さらですが、少しずつ正確な言葉を獲得していくよりほかはありません。

 

引用したい言葉はたくさんありましたが、最後に団鬼六さんがよく言っていたという『閑吟集』の言葉を記しておきたいと思います。

 

一期は夢よ、ただ狂え

 

 
金曜日のランチ「エビとアボガドの冷製パスタ」
 
「言葉は、多く読むことよりも、深く感じることのほうに圧倒的な意味がある」という若松英輔さんの言葉と「たくさん読むことがいいことだという風潮にも異を唱えたい。自分の心揺らぐ瞬間を発見し、思考の軸とすること。それこそが教養なのだ」という見城さんの言葉が重なりました。