宝塚のお芝居におじさんが出てくるって知ってましたか?

言われてみれば、おじさんだって出てますよね、きっと。

だけど、宝塚におじさんを観に行く人は少ないんじゃないでしょうか。

 

2006年宝塚歌劇団に入団した著者の、「おじさん」道をひた走った12年間の記録です。

 

宝塚といえば、華麗なるダンスショー。

なんとなく、お芝居にはそこまで力を入れていないんじゃないかと思ってたんですが、(ファンの人、本当にごめんなさい)どうしてどうして、演者一人一人、またみんなで、演出家とプランを練っていく過程も知ることができて興味深かったです。

 

『ファントム』に出演したときの主演は蘭寿とむさん。

稽古終了後に、顔合わせを兼ねた打ち上げが催されます。

これ幸いと、蘭寿さんに自己アピールをしに行く下級生。

なかなかお話しする機会をつくることができず焦る天真さんは、やっと話しかけられたとき「私ってどう思いますか?」と???な質問を投げかけてしまう。

 

蘭寿さん「貴方は頑張っていない」

 

さらに「貴方がもっと頑張ったら……私は貴方を抱きしめる」と告げ、その場を去って行った。

 

かっこいい~~~

 

天真さんといえば「タンバリン」芸なんだそうです。

スマスマに出演したとき、披露することになりました。

私、これ、リアルで観てます(謎のドヤ顔)

タンバリン芸を披露した後、キムタクが「天真ー!」って声をかけるのが男前です。

 

2011年3月11日

計画停電が行われる中、電力をたくさん使う「豪華絢爛」の舞台に立っていいのか。

劇団員は来る日も来る日も話し合った。

「このような時だからこそ、普段通りに宝塚が公演していることで安心する方もいる」という当時の理事長の声で、「公演をする」に足並みがそろった。

 

公演をするのであれば、終演後にロビーに立ち義援金を募ろうということも決まった。

 

幕が上がり、たくさんのお客さんがはちきれんばかりの拍手で迎えてくれました。

 

観劇を心の支えに生きている方がいる。

 

私は、これから生きていくにあたって、その方々のために身を捧げよう、と心に決めた。

募金活動ではさらに近い距離でお客様から直接エールを頂いたり、復興を願い、寄付される姿を見て、募金箱を持ちながら涙が止まらなかった。

 

公演中にウイッグを落としてしまったり、もっとセリフに色をつけてと言われて、台本にマーカーで色をつけたり、ユーモアとサービス精神にあふれる天真さんのドタバタっぷりが楽しいです。

 

天真みちるの卒業公演は『異聞・天草四郎/百花繚乱』田中役

千秋楽は密着ドキュメントで語られます。

 

感動。

 

 

2021年3月31第一刷発行
左右社
読んだ日:7月11日