1972(昭和47年)生まれの小島慶子は、1923(大正12)年生まれの大作家を畏れながらもタマ友と呼ぶ。タマ友とはソウルメイト(魂の友)のことらしい。

 

生来の性分の違いや家庭環境の違いに加えて、生きた時代が違うので価値観や感覚の相違があります。こうも思考法と意見が違うのに、なぜか馬が合うというのは不思議だなと思っていたのですが、書簡という名の原稿を交わすうちにわかりました。(あとがきより)

 

夫の浮気から精神に異常をきたし、自殺まで頭をよぎったという小島さん。

現在は「エア離婚中」だという。

 

佐藤愛子は、鼻で笑うかのようでいながら、真剣なアドバイスを繰り出す。

 

「気に障ったら讀み捨ててくださいなんていいませんよ!心して讀め!そういう気構えで書いています」

 

痺れるばあさんだ!

 

「手紙を書くって、なんだか心理カウンセリングみたいですね。自分の不安がいやでも見えてきます。嫌われたくないし、失望されたくない。書くそばから「これは佐藤さんに失礼では」「これは読んだ人が怒るのでは」「これは誰かが傷つくのでは」と袋小路に入り込む」という小島さんに、「うーん、そうだったのか!これはしんどいだろうな」と佐藤さん。

 

「世の中にはいろんな人がいます。それぞれの思わく、傷ついた、傷つけた、なんてことを考えたって追っつかない」

 

「「蛸の酢のもの」を酸っぱいから嫌いだという人を、味のわからん奴、と怒ってもしょうがない。また、無理に嫌いでなくなろうとする努力をする必要もない。蛸みたいなあんな気色の悪いものを食べる人の気が知れない、と批判をしてもしょうがない」

 

「今の時代は何かというと人の気持ちをわからなければいけないといい過ぎると私は思います。夫は妻の、妻は夫の、親は子供の、教師は生徒の……。エイいちいちうるせえ、と私はいいたくなる。そんなことばかり考えてるから現代人は委縮してるんです」

 

愛子節炸裂。

痛快です。