本書は、文章術の名著「100冊」のエッセンスを1冊にまとめたもの。

現役ライターの著者2名が100冊を真剣に読み込み、文章のプロが持つ共通のノウハウを洗い出し、ランキング化したものだそうです。

 

◇ランキングの決め方

(1)「文章の書き方」をテーマにした本を「100冊」購入

(2)どの本に、どのようなノウハウが書かれているかを洗い出す

(3)共通のノウハウをリスト化する

(4)ノウハウをランキング化する

 

ランキングされたものが40個リストアップされています。

 

1位「文章はシンプルに」、5位「わかりやすい言葉」を選ぶなど、わかっちゃいるけど難しい。

 

15位「とにかく書く、たくさん書く」

1 時間を決めて毎日書く

「文章を書くことは、話す、聞く、読むことのように半ば自然発生的なものではなく、強制されてようやく身につく能力であり、それも使っていないとすぐに錆つくという厄介な能力なのである」(『自家製 文書読本』井上ひさし/新潮社)

 

「日記をつけなさい。踊りの修業をする人は、稽古を一日怠るだけで後戻りをするといいます。書く練習も同じです。何でもいいからその日のことを書く、という訓練を己に課しなさい」(『文章の書き方』辰野和男/岩波書店)

 

2 書いた文章を自分でほめる

「思ったようにいかなかったら、もっと上手に書けるようになりたいが、これでも前よりは随分ましになっている。まんざら棄てたものではないと自分をはげます」(『知的文章術』外山滋比古/大和書房)

 

28位「日頃から内面を豊かに耕す」

文章は、その人の思考や思想、性格といった人間性を自然と反映します。

コップの中に半分の水が入っていたときに、「半分しかない」と書く人もいれば、「半分もある」と書く人もいる。

両者の違いは人生観の違いです。

人生観とは、人生に対する見方のことです。

 

「文章がうまくなるには、6割の『人生観』と、4割の『情報』と『テクニック』が必要である」(悪文・乱文から卒業する 正しい日本語の書き方」/ディスカバー・トゥエンティワン)

 

「結局は『内面』の深さがものをいうのではないでしょうか」(『文章のみがき方』)

 

巻末で紹介されている100冊は、文章術の定番から、コミュニケーション術、話し方の本など、前田裕二の「メモの魔力」もあります。

 

筆者の藤𠮷豊さんが文章を書くときに最も大切にしていることは「愛語」の実践だそうです。

愛語とは禅の用語で「心のこもったやさしい言葉」「親しみのある言葉」「愛情のこもった言葉」のこと。

 

「『書く力』は、読み手の人生を変えるほど大きな力を持っています。

だからこそ、人を非難したり、傷つけたり、差別したり、中傷したり、炎上させるために言葉を使うのではなく、人を励ましたり、勇気づけたり、元気にするために言葉を使いたい……」

 

本書で一番響いたところでした。

 

お読みいただきありがとうございました。