「原発事故と大津波がなければ。。。
もっともっと復興は早いんですけれどね」
3月2日の拙ブログにいただいた、山形のブロガーさんからのコメントにハッとしました。
地震と津波は頭にありましたが、原発事故が抜けていました。
もしかして、マスコミもあまり扱わなくなってる?
「神様2011」は筆者が1993年に書いた短編「神様」の震災後バージョンです。
「神様」は最近越してきた「くま」に誘われて散歩に出るという、ちょっと不思議なお話。
川上さんの丁寧な文章にほっこりします。
震災後の「神様2011」には、いつもの日常が、放射能という目に見えないものに影響されていくさまが静かに描かれます。
あとがきから
2011年3月末に、わたしはあらためて、「神様2011」を書きました。原子力利用にともなう危険を警告する、という大上段にかまえた姿勢で書いたのでは、まったくありません。
それよりもむしろ、日常は続いてゆく、けれどその日常は何かのことで大きく変化してしまう可能性を持つものだ、という大きな驚きの気持ちをこめて書きました。
静かな怒りが、あの原発事故以来、去りません。むろんこの怒りは、最終的には自分自身に向かってくる怒りです。今の日本をつくってきたのは、ほかならぬ自分でもあるのですから。
この怒りをいだいたまま、それでもわたしたちはそれぞれの日常を、たんたんと生きてゆくし、意地でも「もうやになった」と、この生を放りだすことをしたくないのです。
だって、生きることは、それ自体が、大いなるよろこびであるはずなのですから。