昨日に引き続き、ブログ発の書籍です。

2020年1月、新型コロナウイルスのため封鎖された中国武漢。

60年以上武漢に住む作家の方方さんが、「籠城日記」としてブログで発信されたものをまとめたものです。

 

手に入ったマスクを分け合い、共同購入で食料品を調達する。

ヒト-ヒト感染はないと言われながら、いきなり封鎖された1100万都市で、作家が何を見、何を経験し、何を考えたかがつづられています。

 

葬儀場に紅旗を立て記念撮影をする、病院のベッドの前で「共産党がなければ新中国はない」と歌う役人たちへの疑問。

当局のご機嫌を取るために書く作家への批判。

中国ならではの事情も語られます。

 

3月10日には、「騒客(サオコー)文芸」へのインタビュー記事の内容が記されています。

 

騒客文芸:あなたの日記はリアルすぎます。

方   方:私は、最初ブログで書き始めました。ブログは雑談をする場所で思いついたまま語ります。

 

「長江日報」について

メディアを信用しないというのも、あまりに偏った考えではないでしょうか。

大きな出来事についての報道や感染症の全体的な情報についてはやはりメディアの情報を見るべきです。私が書いているのは個人の感想にすぎません。私の日記から全体状況をつかむことができないのは明らかです。

 

武漢のある湖北省では、劉備・孫権連合軍が曹操と戦い、三国時代につながった赤壁の戦いが行われ、中でも武漢は辛亥革命の幕開けとなった「武昌蜂起」の舞台でもあるそうです。

 

武漢人は話し方がストレート、喧嘩早く、義理人情に厚く、根拠のない自信を持っている。知れば知るほど武漢人がどんなに誠実で、どんなにかっこうつけたがるかがわかってくる。-本文より

 

作者の方方さんは、糖尿病の持病を持ち、睡眠薬がないと眠れない日々を過ごしながら、ブログを更新し続けました。

 

ネットの保守(中国なので左翼)からの強い批判も受けます。

ほとんどが、ブログもロクに読まず、部分だけを取り上げた揚げ足取りだったと言っておられます。

 

3月24日、ブログの最終日はこんな言葉で結ばれています。

 

私はうるわしい戦いを終えた。

私は走るべき道を走り終えた。

私は信じる道を守り通した。

 

訳者あとがきには、聖書の言葉を念頭に書かれたものだと説明されていました。

 

「わたしは戦いを立派に戦い抜き、決められた道を走りとおし、信仰を守り抜きました」-テモテへの第二の手紙4:7

 

中国語の特徴でしょうか。文章が断定的でとてもわかりやすいです。

古典や文芸から引用される話も興味深い。
ブログ初心者の私は、また新たなブログの一面を見たような思いがいたしました。