昨日新橋の博品館劇場で公演中のミュージカル「わだつみのこえ」を観に行ってきました。
tekkanさんと阿部よしつぐさんが観たかったから、という単純な理由から行ってきました。
おもしろかった、とは決して言えない作品。
それだけでは終わらない作品でした。
現代の7人の大学生が、大学で毎週開かれている読書サークルで、
「きけ わだつみのこえ」を読み、
70年前の日本の大学生の人生と心情に触れるという作品。
ほぼ歌でセリフが綴られていきます。
冒頭で、こういう読書サークルがなければこの本にめぐり会うこともなければ
一生読むこともなかった、というようなセリフが出てきます。
確かに。
どんなに「いいよ。」とか「すばらしいよ。」と言われても
興味が持てなければ素通りして一生を終えてしまう。
本に限らず、文化ってそういうものですよね。
衣食住が足りていれば人間、生きていけるし。
じゃあ、それだけで生きてると言えるのか、っていう簡単な話でもなく・・・
文化を楽しめる、知的好奇心を余すことなく楽しんで追及できるということ、
言論の自由が許されている現代がどれだけ幸せかということで落ち着いてしまっていいものなのかもわからず・・・。
戦争末期、旧帝国大学に在学中の学生達にも召集令状が下り、
各戦地へ向かいます。
20代前半の学生達の国を思う心、家族、恋人を守ろうとする心に胸を打たれます。
この舞台、全国の学校で観てくれないかな、って思いました。
っていうより日本国民はみんな観たらいいんじゃないかな。
この舞台、一切、「戦争が良い」とか「戦争は悪い」とかそういうセリフはありません。
だからこそ、想像してほしいし、子供達にいろいろ感じてほしいです。
ところで現代の読書サークルの場面は皆さん、ご自分の私服で出演されているそうです。
みなさん、おされさんだわ~。
ミュージカル座の作品って今回2回目ですが、
観終わった後に不思議な感覚が残りますね。おもしろかった!とひと言では終わらない何か。
悲しみでもなく、絶望でもなく、希望でもない。
それをうまく表現できないもどかしさ。
表現するには私の人間の器が小さすぎるんだな。
経験も少ない。だから想像するしかない。
だからもっともっと心のアンテナを張り続けなければ。
ぜひ、この世界、皆さんも感じてください。
では。