私の中では、井料さんのファンティーヌがはかなげでとても好きだったのですが、
シルビアファンティーヌ、素敵でした。
歌にも演技にも説得力があります。
「夢にやぶれて」ではその歌の世界が目に浮かび、ファンティーヌのひと夏の恋とあっという間にいなくなった恋人への思いが胸に突き刺さってきます。
もうこの曲は私にとっては号泣ソングなのですが、先日はさらに号泣モノでした。
娼婦になってしまうところもさすがです、すれっかれてしまった雰囲気がよく出ています。
けだるそうに、悲しそうに客引きをしている立たずまいが物悲しくて、でも生きてコゼットにお金を送
らなくてはならないためにはどんなことでもするという決意を感じます。
あの客引きのポーズ、今まで私が見てきたファンティーヌの中でも一番しっくりしていたと思います。
亡くなる直前の、コゼットの幻を見てバルジャンに抱きかかえられてベッドに戻る姿は真に迫っていました。
原作だったか、映画だったかで、バルジャンはどこかでファンティーヌに同情以外の愛情を抱いていたと表現されていたような気がしますが、舞台ではあまりそこは強調されていませんね。
でも最後、バルジャンが天に召されるときにファンティーヌが迎えに来るところにそういう意味が含まれているのかな、と思ったりもします。
シルビア・グラブさんのファンティーヌは2回目なのですが、以前はシルビアさんの声は迫力があるので薄幸のファンティーヌは似合わないのではないか、と思いながら見たのですがそんな心配は全くの階無でした。
これからもシルビアさんのファンティーヌは必ず見たいと思います。