あ、神戸公演を初めて見るかたはここから読まない方がいいです。
ネタばれしまくってますから。
この舞台の中では脇役なのですが、とても強烈に残る存在の人がいます。
ヴァリエの母、ティリー伯爵夫人。
名門ブルボン王朝の末裔でありながら、
5年前に自分と息子をカナダに無一文で置き去りにした夫の迎えが来ると信じ続けています。
そして、貴族であるプライドがあるがゆえに、
いつ、どこにいようとも、どんな環境にいようとも伯爵夫人であろうとします。
それを見た世間は彼女のことを「頭が狂っている」と中傷しバカにします。
唯一母を理解している息子ヴァリエ。
母だけにはシモンを友達としてではなく、恋愛対象として見ていることを告白します。
母はそんな息子のことはすべてわかっています。
そして「崇高と愛を一緒にしてはいけませんよ。精神と魂から芽生えるものは違います。」とヴァリエの気持ちに気づいていたこと、ヴァリエが唯一自分に寄り添っている人間だと伝えます。
(省略)
怒りに身を任せたリディアンヌからパリにいるはずの夫の真実を聞くティリー夫人。
ティリー夫人はヴァリエに「明日、狐狩りにでかけましょう。」と伝えます。
パリに帰るために・・・。
そして、ヴァリエにあることをお願いします。
ヴァリエとティリー夫人の別れの場面。
母は、母がいなくなってから自分はどうすればいいのか問う息子にこう答えます。
ティリー夫人:「領主館をあなたに残すわ。(省略)そして私の愛のすべてを。(省略)
若い苗木に日差しが届くように、年老いた木々は死ななければならないの。
倒れた木々はやがて朽ちゆき、新しい土へと生まれ変わるわ。
若木に残してあげられる最高の贈り物よ。」
ううう・・・・。・゚゚・(≧д≦)・゚゚・。
もう号泣です。
今も鼻水だらだらです。
ティリー夫人、あなたの愛は大きすぎます。
一度も夫の悪口は言いませんでしたね。
夫の迎えだけを信じて生きてきた5年間。
ときおり見せる不安と孤独。
プライドもズタズタになりながらも貴族としての誇りとヴァリエを支えに生きていた5年間。
あなたは魂とともにパリへ帰ったのですね。
母って、すごい・・・。
もし、今度再演が決まることがあるのなら、この役をぜひ!新納さんにやってほしいです。
本当にすばらしい女性です。