女神記 (新・世界の神話)/桐野 夏生
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本日2冊目の本。

桐野夏生著「女神記(じょしんき)」


はるか昔の遠い南の海蛇の島に一つ違いの姉妹が生まれます。

姉のカミクゥは「陽」として生まれ、島の繁栄を祈る大巫女様になるための教育を受けていきます。

妹のナミマは「陰」として生まれ、カミクゥ、そして島の影を背負う巫女としての役割を担うように迫られますが、その宿命に逆らい、島から逃げ出します。


太陽と月、男と女、海と陸、生と死、陰と陽、対極に存在するものと

ヤマトの国を作ることになった古事記に登場する、イザナキ(男)とイザナミ(女)という神の物語をも挟みながら、イザナミのいる黄泉の国の付き人になったナミマが告白する形で物語が進んでいきます。


私は東洋、西洋にかかわらず、神話系の話、大好き。

宗教の話も好き。仏陀の話もキリストの話も好き。


だから古事記も大好きだ。

古代は、こうして、神の国、黄泉の国と人間界がとても近かったのだろうなと思う。

結界を超えると違う世界が広がっている。

だから人は入っていけない場所をわきまえていたし、

生も死も身近にあったのだと思う。


ここでは生も死も決して綺麗なものとしては描かれていないし、

また、神を敬うあまりに人間が村八分になったり、人間もそして、

イザナキやイザナミという神でさえ、綺麗事として描かれていない。


だからこそ、面白いと思う。


生も死も、男と女も、愛も憎しみも

世にある対極にあるものはすべて、

行きつくところは「無」であり、「真空」であることを感じたのでした。