「太郎が恋をする頃までには…」
猿回しで有名な太郎次郎の太郎さんとの出会いから結婚までを奥さんであるフジテレビプロデューサー栗原美和子さんが書いた本です。

ただの恋愛ハッピーものではありません。

主人公新聞記者である今日子は猿回しを職業とするハジメを取材することになります。

始めはお互いに嫌悪感から始まりますがハジメがいきなり今日子にプロポーズをし、二人は付き合い始めます。
そして、ハジメはいつもどこか暗い目をしていて、その理由が彼の出身地が被差別部落だからだということがわかります。

被差別部落問題、普通に暮らしているとわかりませんが昔の士農工商で幕府が勝手に人間以下の人間を作ったのです。
そんな理不尽な制度はとっくの昔になくなったのにいまだに結婚するときには問題になるようです。
実際に私の遠い遠い親戚にも結婚後に旦那さんが被差別部落出身だとわかり離婚に至った人がいます。

私は小さい頃、母から何かの話のついでにそういったエタ、ヒニンの話を聞かされ、とてもナンセンスなことだと教えられました。また、教員免許を取るときにもこの同和問題をビデオなどを観て、根強く残った問題だが、人間に人間以上も人間以下もないことを教えられました。でもこれは知識として知っている程度です。まさか本当に今現在苦しんでいる人がいるなんて…。
それでも人はどこかで自分を優位に立ちたいと思ったり、理屈じゃない感情が生まれてくることも確かです。
この本はハジメと今日子が本音でぶつかり合い、結婚をしますが…後はお読み下さい。

島崎藤村の破戒も読んでみようかな。