いつかの雨の日
小さな折りたたみ傘で
君と駅まで歩いた帰り道。
紫陽花が群れる。
たまに当たる君の肩に
ドキッとしながら歩いた
あの道は都市企画で
無くなってしまった。
紫陽花は伐採され
真新しい無機質な壁が
真っ直ぐに伸びている。
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何年ぶりだろう?
君から連絡が来て
駅前のカフェでお茶をした。
君の左手の薬指には
指輪が光っていた。
そりゃそうか。
景色も変わっていくんだ。
君も変わっていくはずだ。
変わってないのは…僕だけか。
対面のテーブルで
君の顔を正面から見た時
僕は学生時代
君の横顔ばかりみてたんだなぁ….
今更ながらそう気づいた。
愛の余白を埋められずに
隙間だらけの理想の恋を
ずっとひっぱりながら
いつか忘れてしまって。
そんな僕の記憶を
また思い出させるなんて
君は残酷過ぎて
頼んだアイスコーヒーのグラスみたいに
僕の心も涙で濡れている。
君は楽しそうに
学生時代の話に興じながら
僕に向ける悪戯っぽい笑顔は
ちっとも変わってない。
「ねぇ?聞いてる?」.
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「ん?あ、あぁ。」.
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「あ、〇〇君って元気なのかな~」.
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傍からみたら
今だけは僕たちは
恋人同士に見えるのかな?
今日だけは、そう見えるのかな?
また明日からは
別々の人生で別々の道。
今日はきっとそのクロスロード。
君にとっては
クラスメイトに
再会したただの1日。
僕にとったら
意識しすぎた重い1日。
君を駅まで送った帰り道。
自転車を押しながら
無機質な壁にそって進む。
あの頃の思い出は
胸にしまっておこうと思ったけど
太陽が沈んで南の空に
浮かび上がってきた夏の星座に
そっと隠すことにしよう。
今日散々君の顔を正面から見たのに
星座に浮かぶ君の顔は
やっぱり横顔なんだ。