私たち夫婦は冗談を言い合い
遊ぶのが好きだった。
夫が
「妻は夫の言うことに従い
歩く時は黙って三歩下がって歩きなさい」
と言えば
私は
「はは、はい」と答え、三つ指をついて
深くお辞儀をするのです。
まさに半沢直樹の2倍返しです。
そしてそこに夫のアドリブが入り
「それじゃ、豚の指ではないか」と
言うのです。
また、夫が「その腹はなんだ!」と
突き出た私のお腹を指させば
お腹をつかみ、振るわせ
「こんな気持ちいい場所はない」
と反論する。恥も外聞もあったもんじゃない。
テレビで肥満の人が映って入れば
「あんたが出ている」と呼び出し、指さす。
それが何度も繰り返される。
私は決して痩せている方ではないが
い加減腹が立ったので
「いい加減にしてよ❗️これでもまだ美を追及さる年頃なんですからね」と責めると
「美を追及する年頃?」と言って、腹を抱えて笑う。
私は誕生日の9/17近くになると
夫に「明日は何の日?今日は何の日?」と
うるさくつきまとう。
誕生日のプレゼントなど期待していないし
いまさらって感じて貰いたい気持ちもない。
言うだけである。
すると、夫は面倒くさそうに
「はい、はい。敬老の日だろう」ととぼける。
それなのに、前のブログでも書いたが
一度だけ、バラの花束をくれたことがあった。
驚いたし、どう言って、
花屋さんで買ったのかと思うと
思わず笑ってしまう。
でも正直嬉しかった。
夫は若い頃、髪はフサフサで
処理に困るくらいだったのに
いまでは薄くなってしまい
頭のてっぺんが禿げてきている。
私は「頭のてっぺん、禿げてるよ」と言うと
「うるさい‼️」と言って怒り
鏡の前で、一生懸命
育毛剤を振りかけている。
私たちは、ベタベタが嫌いだし
食事が済めば、夫は2階の寝室へ行って
寝転んで、テレビを観る。
私は、リビングで食事後の時間を楽しむ。
特別なことがない限り
顔を見合せ、会話を楽しむなんて
ことはない。
仮面夫婦である(笑)
ある日、たまたまテレビで
思い出の懐かしのメロディと称した歌番組が
入っていた。フォークソング特集だった。
私たち夫婦にはフォークソングは
青春時代を思い起こす歌でもあった。
私は、アリスやかぐや姫、井上陽水の歌が
好きだった。
夫は、吉田拓郎の大ファンで
レコード(いまはもうないかな)も
沢山揃えていた。
いまの若い人は
どの歌手も知らないだろうな。
そんな歌番組が入っていて
気がつけば、二人で合唱していた。
合唱になっていたのに気づいて
2人で顔を見合せ、吹いた。
いま思えば、懐かしく楽しい思い出ばかりだ。
夫は、私が一時体重が43キロまで落ちた時
もう太っているなんて言わなくなった。
抗がん剤の副作用で髪が抜けても
ハゲの仕返しはしなかった。
いま、こんな時こそ
もう一度冗談を言い合い
「それ全然面白くない」とか
「ちよっと引く」
「それ、ウケる」
なんて言って、笑い飛ばしたいものです。